トヨタとマツダがEV戦争に「結婚」で挑む事情

「本気の証し」として500億円の相互出資も

まず重要なのが、EVだ。共同開発の詳細は今後検討するとしているが、基本構造に関する技術が中心になるという。トヨタもマツダも、これまで本格的なEVを発売できていない。

トヨタは2012年に米EVメーカー・テスラと業務・資本提携し、SUV(多目的スポーツ車)の「RAV4 EV」をカリフォルニア州限定で発売した。だが、技術者同士の価値観が合わなかったとされ、提携は2014年に終了。昨年末までにテスラ株も全株売却している。マツダも2012年からEVを官公庁向けにリース販売しているが、実績は100台程度にとどまっている。

トヨタは「プリウス」をはじめとするハイブリッド(HV)技術に傾斜し、マツダはディーゼルやガソリンエンジンを改良することで環境性能の向上を進めてきた。

世界中でEVシフトが止まらない

一方、世界を見渡せば、フランスや英国が2040年までにガソリン車やディーゼル車の販売を全面的に禁止すると発表。米国でも新たな環境規制ではHVがエコカーの対象から外されたり、中国も国策としてEVを優遇したりするなど、EVシフトの流れは止まらない。

今夏納車が始まった米テスラの「モデル3」。300万円台という価格で、すでに40万台以上の予約が入る人気ぶりだ(写真:Tesla)

自動車メーカー側としても、スウェーデンのボルボ・カーが2019年以降、すべての車種を電動化することを発表し、独フォルクスワーゲンも2025年までに30車種以上のEVを投入すると表明するなど、欧州勢は対外的にEVシフトをアピールするのに必死だ。

トヨタがかつて提携したテスラは時価総額で米自動車大手3社を抜いたうえ、300万円台から購入可能なEV「モデル3」の納車が始まったことで注目を集める。日系でも、日産自動車が1回の充電で走れる距離を大幅に伸ばした新型EV「リーフ」を9月に発表する予定だ。

トヨタも昨年末にEV開発のための新組織を設け、2020年ごろの量産化を目指しているが、スピードは遅い。寺師副社長は「トヨタはEVで遅れているとよくいわれるが、HVやプラグインHV(PHV)、燃料電池車(FCV)など多岐にわたるエコカーを手掛けてきた。それらの基本となるコンポーネント技術を生かしたい」と意気込む。だが、実際の商品が出てこなければ、技術の優位性は見えてこない。

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