EVブームの次にはFCVのメガトレンドが来る 日本のダントツ水素技術が世界を圧倒する
世界的な「EV(電気自動車)シフト」の潮流の陰で、存在感が薄くなったように見えるFCV(燃料電池自動車)だが、今後の展開はどのようになるのだろうか? このたび『日本の国家戦略「水素エネルギー」で飛躍するビジネス』を上梓した西脇文男氏に解説してもらった。
FCVを次世代車の主役に位置づける日本
EVシフトが進む中、次世代環境車のもう一方の主役であるFCVの存在感が薄れている。2014年12月、トヨタ「MIRAI(ミライ)」はFCV初の量産車として華々しくデビューした。それから3年半たった今、普及台数は1万台に過ぎず、300万台を超えたEVとは比べるべくもない。
EVはすでに普及期に入り、量産効果が出始め、車両価格も手の届くレベルまで低下しつつある。一方のFCVは、水素ステーションの整備が進まず、車両価格は「MIRAI」発売当時から下がっていない。
このFCVを次世代車の主役と位置づけ、開発・普及に最も力を入れているのが、わが日本だ。なぜなのか?
1つは、わが国のエネルギー政策に起因する。原発事故以降、化石燃料の輸入が増大し、エネルギー自給率は10%を切るレベルに低下、CO2削減も計画どおりに進んでいない。エネルギー安全保障と地球温暖化に対する切り札として「水素社会構築」を国策に掲げる日本にとって、FCVは国策に沿ったエコカーなのだ。
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