EVブームの次にはFCVのメガトレンドが来る 日本のダントツ水素技術が世界を圧倒する

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2つ目は産業政策の観点から。部品や技術の組み合わせ型で技術的な参入障壁の低いEVでは、日本の強みが十分に発揮できない。また、日本には自動車生産を支える部品産業が集積しているが、部品メーカーのビジネスも雇用も先細りとなってしまう。

一方FCVは、ガソリン車以上に部品点数も多く、高度な技術がなければ開発・生産はできない。これぞまさに日本の自動車産業の高い技術力と、部品メーカーと一体となった生産方式が活きる市場、日本が優位性を発揮できる市場なのである。

FCV普及のカギ握る水素ステーション

でははたして、FCVに勝ち目はあるのだろうか?

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先行するEVにも大きな弱点がある。1回の充電で走行できる距離が短いこと、充電時間が長いことだ。蓄電池の性能アップで航続距離は伸びてきているが、弱点の完全な払拭は難しいとされている。この点、FCVは1回の水素充填で700km程度走行でき、充填時間も3分程でガソリン給油と変わらない。

一方、FCVの最大の弱点は水素ステーションの数が少ないことだ。FCVと水素ステーションは「ニワトリが先か、卵が先か」の関係と言われる。水素ステーションが整備されなければFCVは普及しないし、FCVの普及台数が少なければ水素ステーションを開設しても商売にならないので、新設は進まない。

しかし「ニワトリが先か、卵が先か」の答えは明らかだ。水素ステーションの整備なくして、FCVが普及拡大することはありない。普及初期の段階では、水素ステーションを先行して整備する必要がある。

国の「水素・燃料電池戦略ロードマップ」では、現在100カ所程度の水素ステーションの数を、2020年度までに160カ所、25年度までに320カ所へと増加させる目標を掲げている。今年3月には、自動車メーカー、水素インフラ事業者、金融投資家等の民間企業11社(その後6社が加わり現在17社)により、水素ステーションの本格整備を目的とした「日本水素ステーションネットワーク合同会社(JHyM:ジェイハイム)」が設立された。

これにより、民間企業がオールジャパン体制を組み、国や自治体とも一体となって、「ニワトリと卵」の関係から「FCVと水素ステーションの好循環」の創出へと進化する体制が整った。

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