「トヨタは電動化が遅れている」説にモノ申す 傾注するハイブリッド車の進化が示す真意

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トヨタが見据える「電動化」への道とは?(写真は12月13日にパナソニックとの共同会見に臨んだトヨタ自動車の豊田章男社長。撮影:今井 康一)

「21世紀に間に合いました」

印象的なキャッチフレーズとともに登場した世界初の量産ハイブリッド車(HV)、初代プリウスの登場から20年となる2017年、トヨタ自動車が「車の電動化」に向けて大きく舵を切り始めた。

トヨタは今年9月28日に、トヨタ/マツダ/デンソーと共同で電気自動車(EV)の基幹技術の開発を行う新会社「EVシー・エー・スピリット」の設立を発表。11月末には「車両電動化技術説明会」を開催、12月13日にパナソニックと車載用角型電池事業の協業の検討も始めた。

そして12月18日に「電動車普及に向けたチャレンジ」を公表した。具体的な内容は下記である。

【電動化車両全般】

・2030年にグローバル販売台数における電動車を550万台以上、ゼロエミッション車であるEV、FCV(燃料電池車)は100万台以上を目指す

・2025年頃までにHV、PHV(プラグインハイブリッド車)、EV、FCVといった電動専用車および、HV、PHV、EVなど電動グレード設定車の拡大により、グローバルで発売する全車種を、電動専用車もしくは電動グレード設定車とする。これにより、エンジン車のみの車種はゼロとする

単なる“宣言”ではなく具体的な根拠がある

新聞をはじめとする一般メディアは「トヨタ、EVシフトを加速!!」といった見出しの記事を掲載している。

筆者はプリウスの登場以降、20年近くトヨタの動きを追いかけてきた。トヨタが表明した「電動車普及に向けたチャレンジ」を考えるうえで重要なポイントは、欧州メーカーのそれとは違い、単なる“宣言”ではなく具体的な根拠があることだ。

トヨタの寺師茂樹副社長は12月18日の会見において、「これまでもHV技術で培った技術はEVにも活用できると言ってきたものの、残念ながら電池技術の課題を乗り越えるストーリーがなかった。しかし、今回パナソニックさんとの協業により、われわれの中で欠けていたピースが埋まったことで、電動化シフトの体制が整った」と語っている。

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