「トヨタは電動化が遅れている」説にモノ申す 傾注するハイブリッド車の進化が示す真意

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
【HV、PHV】

・HVはトヨタハイブリッドシステム(THSⅡ)を高性能化するとともに、ハイパワー型、簡易型など多様なハイブリッドシステムを開発し、お客様のさまざまなニーズに合わせて商品ラインナップを補充

・PHVは2020年代に商品ラインナップを拡充

「普及させてこそエコカー」というトヨタの方針のまま

つまり、これまで同様用途に合わせてHV、PHV、EV、FCVをそろえ、「普及させてこそエコカー」というトヨタの方針は変わらないが、今までの枠組みにとらわれない展開になるというわけだ。電動化に舵を切ったものの、決してEV一辺倒ではない。

寺師副社長は言う。「2030年に電動車550万台を実現させるためには、電動車の大半を占めるHVの技術をさらに磨き上げる必要があります。今まで以上に多様化を進めるには、現在のハイブリッドシステム(THSⅡ)だけでなく、トーイング性能が求められるCVやアフォーダブルな価格が求められる新興国向け、さらにはスポーツカー用などモデルに合わせたシステムも開発していきます」と語る。

欧州勢が多く用いるトランスミッション内蔵の1モーター式、マイルドハイブリッドのような簡易型、FIA世界耐久選手権(WEC)で戦うレーシングカーのようなシステム(THS-R)のようなハイパワー型など、一般的に想像されるような電動車のシステムはすべて持ち合わせているはずだ。そもそも、トヨタのTHS-Ⅱはシリーズパラレル方式という最も複雑な方式を採用しているため、それを目的に合わせて応用するのはたやすいことだと思う。

となると、内燃機関の進化は止まってしまうのか? そんなことはない。電動化するとはいえ、その大多数は「内燃機関+電動化技術」であることから、内燃機関は将来においても世界的に大多数を占める(2035年に全体の84.4%程度)と予想されており、今後も進化させる必要がある。

その1つが12月19日に発表されたWECへの参戦継続発表だ。WECはWRC(世界ラリー選手権)、ニュルブルクリンク24時間レースと並び、モータースポーツをはじめとする「もっといいクルマづくり」の活動の1つで、主にハイブリッド技術を鍛える場として活用されている。それは電動化技術要素だけでなく、エンジンの高効率化に関しても同様である。

一般的にはガソリンエンジンの熱効率は30%ちょっとと言われているが、WECを戦うトヨタTS050のエンジンの熱効率は火力発電所と同じレベル(つまり50~60%!?)だという。

ちなみにプリウスやカムリのエンジンにもWECの技術がフィードバックされ、市販エンジンとしての熱効率は非常に高いが、より高みを目指すというわけだ。

また、トヨタの豊田章男社長はこうも話している。

「電動化技術は燃費や環境性能を高めるだけでなく、『運転が楽しい』『もっと乗っていたい』『もっと走らせていたい……』そう思えるハイブリッドカーを実現したい」

今年開催された「東京モーターショー2017」ではトヨタのスポーツカー「86」ベースの「GRハイブリッドスポーツコンセプト」を発表、来年1月に開催予定の「東京オートサロン2018」ではWECを戦うトヨタTS050のロードバージョンといえる「GRスーパースポーツコンセプト」とハイブリッドとスポーツを融合させたコンセプトカーをお披露目する予定だ。

このように「石橋をたたいて壊す」と言われるほど慎重なトヨタの動きは本気であり、「攻め」を明確に示したと言っていい。そう言いつつも声高らかにせず控えめな姿勢を貫くのは、2030年を見据えたトヨタの自信の表れだと筆者は思っている。

山本 シンヤ 自動車研究家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

やまもと しんや / Shinya Yamamoto

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“わかりやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事