日産新型ノート、「充電不要EV」がウケた理由 新駆動方式「e-POWER」をセレナにも搭載へ
ガソリンエンジンはあくまで”発電機”、車を動かすのはモーター。2016年11月、日産自動車のコンパクトカー「ノート」に新たに加わった駆動方式「e-POWER」はそんな仕組みだ。分類上はハイブリッド車(HV)だが、すべての車速域をモーターで駆動する新方式である。
このe-POWERの販売が好調だ。ノートの月間販売目標は1万台だが、e-POWERを発売した2016年11月の月間販売台数は1万5784台で、軽自動車を含む国内全モデルの中で首位に躍り出た。日産車としては1986年9月の「サニー」以来実に30年ぶりとなる「歴史的快挙」(日産マーケティング担当者)を達成した。
e-POWERが目標を超える売れ行き
その後もe-POWER人気は続いている。2017年2月まで4カ月連続で1万台の目標を大きく上回った。2月の販売台数も登録車で2位となる1万4859台となり、前年同月比で5割増を記録。内外装は2012年に発売した旧型モデルと変わっていないだけに、e-POWER効果の大きさを表している。
ノートには従来どおりガソリン車の設定もあるが、足元では購入客の約7割がe-POWERを選択。e-POWERの最量販モデルの燃費はガソリン1リットル当たり34キロメートルと、同グレードのガソリン車の23.4キロを大きく上回る。ただその分、価格も46万円ほど高い。それでも顧客から選ばれていることについて、日産日本マーケティング本部の南智佳雄チーフマーケティングマネージャーは、「e-POWERが持つ新しい価値を認めてもらえている」と満足げだ。
「新しい価値」には大きく分けて二つある。一つは加速のよさだ。通常のガソリン車はエンジン内でガソリンと空気を混合し爆発を起こしてピストンを回すため、アクセルを踏んでも動力を生み出すまでにはコンマ数秒ながらタイムラグがある。一方、モーターで車軸を動かすe-POWERではそのタイムラグはほぼなく、アクセルを踏んだ瞬間に車が動き出す。
モーターならではの加速のよさは、日産が電気自動車(EV)「リーフ」の開発で培ってきた技術により実現されている。実はe-POWERの開発は、リーフが2010年に登場する前の2006年から始まっていた。足掛け10年で市場へ投入した新技術の完成度に、日産は強い自信を持っている。
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