突然消えた「ワーゲン」社長、衝撃の日産入り 国内販売店改革で再び辣腕をふるうのか
「まさかと思いましたよ」
日産自動車が12月1日に発表した部長級人事に、独フォルクスワーゲン(VW)の日本法人、フォルクスワーゲングループジャパン(VGJ)の社内では驚きが広がった。
社員が興奮気味に語るのも無理はない。日産が発表した人事には、2015年7月末にVGJの社長を突然辞任した庄司茂氏(53歳)の名前があったからだ。11月16日付けで就任した役職は日本ネットワーク戦略本部の本部長。国内のディーラー網の構築や再建を進める部門のトップだ。
鳴り物入りでVW日本法人社長に就いたが…
庄司氏は新卒で伊藤忠商事に入社し、一貫して自動車ビジネスに携わってきた。特に欧州ではスズキやマツダの販売会社の社長を務めた。こうした実績に目を付けたのがVWのドイツ本社だ。伊藤忠から引き抜かれる形で2012年6月に本社へ直接入社し、2カ月後にはVGJの社長に就任。以降、日本市場でのブランドイメージの向上に精力的に取り組んだ。
2013年の新型「ゴルフ」発売時にはテレビCMにサザンオールスターズを起用。欧州車のCMは本国の意向に沿うことが多く、日本人タレントの起用は異例だったために大きな話題を呼んだ。
販売店改革も進め、2013年から2年連続で過去最高の販売台数をたたき出した。2015年春には「ゴキゲン♪ワーゲン」と銘打った新たなCMを投入し、顧客層の裾野をさらに広げようと取り組んでいた。その矢先の辞任だった。
会社側はその理由について「社長本人の意向」と説明するが、詳細はいまだ明らかになっていない。ただ当時は、独メルセデス・ベンツや独BMW傘下のミニなど欧州の競合他社が手頃な価格の小型車を次々と投入し、VWの牙城に攻め入っていた。ついには2000年から君臨してきた輸入車国内首位の座を、2015年上期にベンツに明け渡すことになる。このことに責任を感じての辞任だったのでは、と推測する声は多い。
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