日産、"自動運転"を「セレナ」に搭載する意味 普及価格帯で世界初も、ジレンマとの戦いへ
「自動運転の技術で安心、安全、快適な空間を提供する。世の中にこの価値を問うていきたい」
日産自動車は国内自動車メーカーとして初めて、自動運転技術を搭載した自動車である新型「セレナ」を8月下旬に発売する。13日に開かれた技術説明会で研究開発部門トップの坂本秀行副社長は胸を張った。
日産にとって自動運転技術は、排出ガスを出さない電気自動車と並び、研究開発の最重要テーマだ。国内市場向け車種のフルモデルチェンジも2013年12月発売のSUV「エクストレイル」以来、実に2年8か月ぶりとなる。足元では三菱自動車から供給を受ける軽自動車の燃費不正問題で厳しい戦いを強いられている国内販売を浮揚させる点からも絶対に失敗が許されない。
テスラの死亡事故で関心が高まる
今年5月、自動運転中だった米テスラ・モーターズの車両が米国で死亡事故を起こしたことが判明。自動運転の安全性に対して社会の関心が高まり、今回の日産の説明会はメディアの注目を集めた。現地の報道ではテスラ車のユーザーがDVDを見ていた可能性も指摘され、米国運輸当局が調査中だ。
この事故を受け、今月6日、国土交通省と警察庁は現在実用化されている「自動運転」機能は「運転支援技術」であり、機能を過信せず責任を持って安全運転を行うようドライバーに呼びかけた。国内自動車メーカーと輸入車ディーラーに対しても自動車ユーザーへの十分な説明を求めた。
こうした動きに日産も敏感に反応した。説明会では「自動運転技術」と銘打ったが、質疑応答の時間では坂本副社長が開口一番、「自動運転の意味は運転支援技術であり、全ての状況をカバーできるわけではない」と断りを入れた。一方で「ドライバーの不注意や操作ミスで起きる事故の防止に大きく貢献できる」と新技術のメリットも強調した。
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