突然消えた「ワーゲン」社長、衝撃の日産入り 国内販売店改革で再び辣腕をふるうのか

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VWのディーラーを運営するある販売会社の社長も、庄司氏の日産入りに驚きを隠せない様子だ。「庄司氏の販売店改革はかなり強引で相当な波風を立てた。日産でも同じようなことをやるのではないか」と話す。

庄司氏を日本に派遣したVWには当時、2018年までにトヨタを抜き世界一を奪取する目標があった。それに呼応しVGJも新車販売を2018年までに年11万台まで引き上げる計画を策定。これは2014年の水準から63%増というかなり野心的な目標だった。

実績の上がらない販社の契約を容赦なく解除

フォルクスワーゲンの国内販売網に大ナタを振るった庄司氏。輸入車業界でも目立つ存在だった(撮影:大澤 誠)

前出の社長によれば、収益性が高い販社に投資を促して店舗数を拡大させる一方、販売規模が小さく投資余力がない販売会社との契約を容赦なく解除したという。その結果、国内の販売店数は現在も約250店と従来と同じ水準だが、販売会社の数は減っている。

庄司氏をよく知るVGJ社員は「現場に密着し、即断即決だった」と日本人離れした経営スタイルの一面を明かす。その庄司氏が、今度は日産の国内販売網をどう変えようとするのか。

日産は以前、国内シェア2位のポジションをホンダと争っていたが、2012年度に5位へ転落。その後も低迷が続き、2016年度上期はシェアが1割を切る窮地に陥っている。この下期は新型「セレナ」や改良型の「ノート」が好調だけに、反転攻勢をかけたいところだろう。

一方で販売網の効率化も課題だ。国内2位のホンダの販売店は全国に約2200店と日産の約2100店とほぼ同等だが、2015年度の販売台数は日産を2割も上回る。日産はせっかくの販売網を使いこなせていない。

販売店は車検などアフターサービスの役割も担うため、顧客の利便性を考えると一定の数は必要だが、販売台数の低迷が今後も続くとなれば、収益性に基づいた販売店の統廃合や販売会社の絞り込みも検討に値するはずだ。

日産のカルロス・ゴーン社長は今年5月の決算発表で「日産は国内で第2のブランドでなければならない」と語り、商品や技術に加え、販売網の強化にも取り組む姿勢を示している。ゴーン社長の期待に応えることができるか、VGJの黄金期を作った庄司氏の手腕に、注目が集まる。

木皮 透庸 東洋経済 記者

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きがわ ゆきのぶ / Yukinobu Kigawa

1980年茨城県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。NHKなどを経て、2014年東洋経済新報社に入社。自動車業界や物流業界の担当を経て、2022年から東洋経済編集部でニュースの取材や特集の編集を担当。2024年7月から週刊東洋経済副編集長。

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