アリババ馬雲氏「引退宣言」は用意周到だった

突然の発表の裏にある「事業承継計画」

突然の引退を発表した馬雲(ジャック・マー)氏(写真:アリババグループ)

2018年9月10日、中国EC(電子商取引)最大手アリババグループの創業者である馬雲(ジャック・マー)氏が事業継承計画を発表した。中国ビジネス界の“スーパーヒーロー”による突然の引退発表は注目を集めている。

天才肌の優等生が多いIT企業の創業者だが、馬氏は真逆のキャラクターだ。子供時代は勉強嫌いのガキ大将。特に数学は苦手で最初の大学受験では1点しか取れないという惨状だった。二浪を経て、3回目の受験で杭州師範大学に合格したが、一夜漬けで山をはった問題が出題されたという幸運に恵まれての、補欠合格というありさまだった。

勉強嫌いの馬氏だが、他を圧倒的スキルもあった。それがコミュニケーション能力と英語、そしてビジョンだ。一度でも彼の講演を聞いたことがある人ならば、そのしゃべりのうまさはご存知だろう。爆笑を取りまくるスタイルは達人級、漫才師の域だろう。

天性の”人たらし”

筆者も実際に聞いた講演ではすさまじい盛り上がりに圧倒された。

「ビッグデータというのはすごいものでしてね。女性のバストが一番小さいのはどの省なのかも一目瞭然。下着の購買データでわかってしまうんです。皆さん、ご存知ですか? いやいや、やらしい気持ちで言ってるんじゃないですよ。ビッグデータで分かっちゃったんだから仕方がない……」
と女性のバストの話で場を暖めてから、データ経済とAIの重要性、ビジネスのパラダイムシフトへと話を進めていき、人々を飽きさせることなく講演していた。

そのコミュニケーション能力の高さは“人たらし”としても発揮されている。右腕の蔡崇信(ジョセフ・ツァイ)氏は馬氏と出会った後、投資銀行での年収100万ドルの仕事を捨てててアリババに加入した。給与はわずか月収500元(約8200円)だったという。ソフトバンクグループの孫正義会長は、馬氏から事業計画を数分間聞いただけで出資を決めた。

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