医学部が悩む「医者に適さない学生」の選別法 キップを手に入れる最大難関の負荷が重い

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医者になれば一生安泰なのか(デザイン:杉山 未記)

「医者にしておけば一生安泰。どの大学でもいいから何が何でも子どもを医学部に」

「息子、娘を医者にして跡を継がせたい」

医学部への進学熱は相変わらずすさまじい。

裏口入学の発覚により、文部科学省の前科学技術・学術政策局長が受託収賄の疑いで逮捕されたのは夏休み前の7月4日のこと。その後は、女子受験生や多浪人生の得点を不当に低く加工していたことが発覚した。

これを受けて医学部人気に影響が出るかとも思われたが、その後に各大学で開かれた医学部進学セミナーやオープンキャンパスは高校生や保護者の熱気であふれ、東京医科大事件などどこ吹く風と言わんばかりだった。

『週刊東洋経済』は9月3日発売号(9月8日号)で「医学部&医者の大問題」を特集。医学部人気の光と影や医師のキャリア&働き方などを追っている。

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医学部を持つ大学は国公私立合わせて全国に82校ある。医学部ブームを背景に難易度が上がっており、最低でも偏差値は60近く必要だ。ただでさえ難関の医学部入試を突破しようと、医師にする(なる)レースはすでに中学段階から始まっている。

私立大の医学部をめぐっては、高額の寄付と引き替えの「裏口入学」が噂された過去がある。しかし、今はそういう不正な入学は考えにくい。というのも、仮に不正な手段で学力を伴わない学生を入学させても、その後の医師国家試験や6年間の厳しい勉強を突破できないからだ。

それだけに、今回の東京医科大事件は「考えられないことが起きた」という点で受験界や医学部関係者に衝撃を与えた。

中には医師に向いていない医学生も

東京医科大事件を待つまでもなく、医学部関係者は入試に頭を悩ませている。というのも、学力は高いが、医師になるモチベーションの低い子、勉強に熱意のない子、さらには患者とコミュニケーションがうまくとれない子が時々入学してくるからだ。

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