マケイン氏が議会で圧倒的人気を誇ったワケ ハグするために議員たちが行列を作っていた
「あ、ほら、マーヴェリックが来たよ!」
時は2005年のワシントンDC。アメリカ議会上院のフロアが見渡せる記者席で、隣にいた記者が、議場を指さすとそう言った。その指の先を見ると、すでに20人ほどの人だかりができていた。
「マーヴェリック」と言えば、映画『トップガン』でトム・クルーズ演じる海軍のパイロットが、仲間からそう呼ばれていたあだ名だ。「一匹狼」または「異端者」という意味だ。
その同じ呼び名で知られるアリゾナ州のベテラン上院議員、ジョン・マケイン氏が、自身が立案した法律の投票のために、採決のフロアに登場したのだった。だが肝心のマケイン氏の姿は、その白髪頭のてっぺんしか見えなかった。すでに数十人の大柄な男性議員たちがマケイン氏を取り囲み、彼の小柄な身体を我先にハグしていたからだ。
圧倒的な人気
まるで人気プロフットボール選手のように、次から次へと男性議員たちからハグされ、もみくちゃになっているマケイン氏。さらにその人だかりの横には十数人の議員たちが列をつくって彼とハグをする順番を今か今かと待っていた。
そして、その光景のすべてがC−SPANというケーブル局を通じて、全米に報道されていた。
何なんだ、この圧倒的な人気は……。それが筆者が初めてマケイン氏を見た時の驚きだった。
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