マケイン氏が議会で圧倒的人気を誇ったワケ

ハグするために議員たちが行列を作っていた

特にマケイン議員が代表するアリゾナ州には、国境を接しているメキシコから、違法移民が流入し続けていた。その対策に税金が注入されていたが、移民の流入は止まらない。「マケインはどうして国境に壁を作らないんだ。何やってるんだ」という州民の不満も爆発寸前で、州代表であるマケイン氏の対応が注目されていた。

アメリカ商工会議所の重鎮たちを味方につけて根回しを開始したマケイン氏は、アメリカのビジネス界のまとめ役たちを前にこう演説した。

「国境警備の予算を3倍に増やし、国境警備隊の数を2倍にしても、違法移民の流入数は2倍になってしまった。つまり現行のシステムが機能していないということだ」

そこでマケイン氏が提案したのは違法移民たちが2000ドルの罰金を払えば、一時的な労働ビザを与えるというアイデアだった。「罰金を払い、さらに今後6年間真面目に働いて納税をした者には、米国永住権の道も開く」。

商工会議所の重鎮たちは拍手で賛成したが、多くの共和党保守派議員たちは大反対した。「それは違法移民への恩赦だ!冗談じゃないぞ!」という怒号が聞こえた。

会場を出てテレビカメラの前で握手するマケイン氏とケネディ氏。多数の記者たちがどっと群がる。背が高く大柄なケネディ氏は、歩く速度も動作もゆっくりで、口調もゆるやか、かつ饒舌だ。つまり、かなりコメントが取りやすいタイプの議員なのだ。

一般用エレベーターに乗り込み取材に対応

その横で取材に答えるマケイン氏は、早口で饒舌なのだが、身体の動きも圧倒的に機敏だった。質問に答えながら、エレベーターの方向にずんずん歩いて行く。

あ、議員エレベーターに乗り込まれてたら終わりだ、と思った瞬間、閉じかけた議員用エレベーターの扉が目の前で閉まった。するとマケイン氏は「あ、こっち開いているな」とつぶやき、隣の一般用エレベーターに飛び乗ったのだ。

私たち記者全員が「ええっ!」と声を出して驚いた。記者に囲まれてしまう一般用エレベーターに自ら乗る議員など、これまで見たことがなかったからだ。

マケイン氏に続き、当然記者も次々と乗り込む。満員電車並に四方八方をマイクやレコーダーやノートやペンでぎゅうぎゅうに囲まれたマケイン氏は、記者たちを見上げるようにして質問に次々と答えた。

その日、記事を書き上げてミズーリ州のエディターに送ると「マケイン、国境政策の改革を呼びかける」という見出しがつけられて新聞に載った。

ケネディ氏やカンザス州のサム・ブラウンバック氏など、マケイン氏以外の有力議員も多数取材して記事に盛り込んだのだが、ワシントンから遠い中西部のミズーリ州の州民に一発でインパクトがあるのは、やはり「マケイン」の見出しだった。

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