1月20日の米国第45代大統領への就任まで2週間あまりとなったいま、ドナルド・トランプ氏は、誰もが予想していなかった米政界の頂点に上り詰めるという自信と高慢さに満ちている。しかし、トランプ氏が数々の政治的、そして経済政策上の難題に直面しているという事実は隠しようがないし、大衆の期待感や不安感、懐疑心の大きさはこれまでの大統領とは比べものにならない。
トランプ氏の最大の頭痛のタネは、彼とウラジーミル・プーチン大統領率いるロシアとの結びつきが親密すぎるという批判や、中央情報局(CIA)との苦々しい確執に対する非難が集中していることだ。CIAや米国のそのほかの情報機関は、ロシアが11月の米国大統領選でトランプ氏に有利に傾けようと干渉したとの報告書をまとめており、これに対して同氏は猛然と反発している。
「問題児」を次々と政権要職に指名
ロシアによる干渉をめぐる議論は、米エクソンモービルの会長兼CEOのレックス・ティラーソン氏を国務長官に、そして国家安全保障担当補佐官に元陸軍中将のマイケル・フリン氏を、さらに副補佐官に元フォックス・ニュースのアナリストを務めるK.T. (キャスリーン・トロイア) マクファーランド氏をあわてて指名させる圧力となった。
ティラーソン氏とフリン氏は目下、大統領選にロシアが干渉したというCIAの報告を公式に認めるという巨大なプレッシャーにさらされている。それによってトランプ氏との関係に亀裂が入るリスクを負うか、あるいはCIAに同意せず、議会と戦うリスクを負うかを迫られている。特にティラーソン氏の場合、就任には上院の承認が必要なため、安易にCIAと対立するのは得策ではないと言える。
トランプ氏とCIAの関係は、すでに破綻している。同氏は、大統領側近が用意した日々の「公式」ブリーフィングを拒絶している一方、フリン氏や、非公式な情報スペシャリストを通じて情報を取得しようとしている。
圧倒的な支持者がいる一方で、不信感を抱えている国民が多いのも、次期トランプ政権の特徴だ。同氏の人気の低さは、「議論を呼んでいる閣僚たちの指名と、野心的すぎる政策目標を押し通すのに必要なだけの政治的資本があるのか、という疑問につながっている」と、米政治専門メディア、ポリティコのアナリストであるスティーブン・シェパード氏は話す。
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