マケイン氏が議会で圧倒的人気を誇ったワケ ハグするために議員たちが行列を作っていた

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同じ共和党の実力者で、国民からも愛されているマケイン氏と自分のハグの光景が、うまくメディアで流されれば、ある種の「みそぎ」になるという計算だったのだろう。

ちなみに、ディレイ氏はマケイン氏が後に大統領選に立候補すると「マケインが大統領では保守を貫いてきた共和党はダメになる」と攻撃している。

マケイン氏が議会フロアでハグの輪の中心にいる時、オバマ氏はひとりでポツンとしていることが多く、誰からもハグしてもらえていなかった。「利用価値なし」と判断されていたのだろう。当時、オバマ氏に近寄って話しかけていたのは、ごくわずかいる民主党の黒人議員たちと、ヒラリー・クリントン上院議員など、ほんの少数だけだった。

誰に話しかけ、誰と話さないか。誰とハグするか、しないか。すべての政治家は、その行為がカメラで全米に放映されていることを知り尽くしているプロたちだ。

オバマ氏のハグを受け入れた

ハグしたからと言って、親友とも限らないし、笑顔で抱き合いながらも敵対関係にあることもある。それがアメリカ議会というクラブのお約束であり、儀式なのだ。

2008年9月26日の公開討論でオバマ氏と(写真:REUTERS/Jim Bourg)

その中で、生涯を過ごし、自らのハグの写真や映像が他者に利用されることを十分承知で「マーヴェリック」な自分なりの発言を通していたマケイン氏。そんな議会クラブで何十年も下積みして少しずつ上がっていく道を選ばず、国民からの票という手段で一気に国のトップに立つ道を選択したオバマ氏。まったく違う道、まったく違う政治信条、まったく違うジェネレーション。大統領選に出馬したそんなふたりが公にハグしたのは、2008年の8月。今から10年前のフォーラム会場での出来事だった。

オバマ氏から手を差し伸べてマケイン氏の身体を引き寄せる。すると、マケイン氏はハグを受け入れ、彼のトレードマークのサインである親指を立てるしぐさで観衆にアピールしたのが印象的だった。

長野 美穂 ジャーナリスト

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ながの みほ / Miho Nagano

米インベスターズ・ビジネス・デイリー紙記者として5年間勤務し、自動車、バイオテクノロジー、製薬業界などを担当した後に独立。ミシガン州の地元新聞社に勤務した経験もある。

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