人生を新幹線に例えると、新横浜が決断の時?

「ミドリムシ男」 ユーグレナの出雲充社長に学ぶ

入行した東京三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)は、当時就職ランキングトップ。もちろん連夜の徹夜仕事など、一部の外銀やコンサルにあるとされる「ブラックな働き方」はなかった。TVドラマの半沢直樹よろしく出向等はあるにしても、30代で年収は1000万を突破する。家族を含めて周囲も、将来を約束された「エリート行員」としての出雲に、価値を見出し喜んだ。

出雲本人も、お金の流れを勉強したらいつかはミドリムシに戻ろうという想いはあったものの、仕事も面白くあまりに居心地が良い銀行の中では、もうミドリムシのことは忘れて銀行にいたほうが楽しいかな…と思うこともあったという。

銀行というグリーン車を新横浜で下りることの意味

しかし、出雲はその銀行を辞めた。母親はショックで寝込んだ。先輩などからは「考え直せ」といわれた。それでも、銀行を辞めたのは、今が「新横浜」の途中下車タイミングだと思ったからだった。

「東京駅から、新幹線「のぞみ」のグリーン車に乗るとする。品川、新横浜までならまだすぐ引き返せるが、新横浜を超えると次は名古屋。一気に引き返すのが難しくなる」。

銀行は居心地が良い。自分の弱さゆえに、今、途中下車しないと、永遠にミドリムシには戻れないと感じた。過去を振り返っても、国連に行きたいと思っていたのに行かず、起業をしたかったのに度胸がなくできなかった。いつも中途半端な人生。それでいいのか。一生後悔するのではと自問自答した。

それでも踏ん切りがつかない出雲に対して、最後に背中を押したのは、懇意にしていた出版社の役員の言葉だった。「あと10年経験を積んだら辞めるっていうのは、ずっと辞めないってことだ。なぜなら自分がそうだから。「俺はね、本当はずっと映画を撮ってみたかったんだ。お前には夢を実現して欲しい」という言葉に背中を押され、出雲は「銀行というグリーン車を新横浜で下りる」という決断をした。

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