●人(特に上層部)の意見
うわさ・伝聞よりも強いのが、特定の人が言ったこと、特に上層部の意見です。一見これは崩せない前提のように思われがちですが、よくよく聞いてみるとある時点で上層部があまり状況を把握せずに発言したことが、曲解して広まっていたり、周囲の人が忖度してしまっていることも。「しっかりと方針を理解したいので考えを聞かせてほしい」とお願いしたうえで状況を説明すれば「それはやる必要がない」と納得してもらえることもあります。
●(古い)業務ルール・社内カルチャー
業務ルールは必要性があって作られていくものですし、その時点では効果的でしょう。しかし、環境変化とともに必然性がなくなってくるルールもそのまま残っていることも。
見直すことで時間が半分に減った事例も
私が以前コンサルティングをした営業部門では、顧客に提案書を提出する際に、何と20人の社内承認を得ないと提出できないというルールになっていました。見積もり承認だけで3人、技術承認では4人、法務で2人など複数の承認者の印鑑をもらう必要があったわけです。これでは顧客に対してタイムリーな提案ができるはずがありません。調べてみると実際にはほとんど内容を確認せずに印鑑を押している人がいたり、せいぜい2人が見れば十分だ、などがわかり3分の1に減らすことで提案にかかる時間が半分以下になりました。
過去に事故や失敗があると承認プロセスを増やし、チェック機能を増やしますが、意識を徹底することで必要がなくなっていることもたくさんあります。年に1度など定期的にプロセスやチェック機能を減らす視点で見てみましょう。
●業界商習慣
商習慣などは業界全体で浸透していることもあり、1社だけやめるのはハードルが高いこともありますね。しかしいまでは顧客の側も疑問視している商習慣もたくさんあります。
たとえば、車で来店した顧客が帰る際、車が見えなくなるまでスタッフ全員で見送るサービスなどは本当に必要でしょうか? 顧客の中には道を確認してからゆっくり出発したかったり、見守られていると思うと焦ってしまって危ない方もいます。
また、季節ものの食品が大量に店舗に並んだ後、余ってしまって大量廃棄される……。これも「常に昨年比増!」という前提があるからかもしれません。
この前提に挑んだ店があります。兵庫県のスーパーが「もうやめにしよう。成長しなきゃ企業じゃない。けど何か最近違和感を感じます」という広告を出し、恵方巻きを昨年実績で作ったのです。結果的に消費者から苦情はなく、むしろ支持する内容の電話やメールが相次いだそうです。人口減の時代、増やし続けるという前提を見直す時がきているのではないでしょうか。
●法制度
最も覆しにくいものですが、法制度にどう従うべきなのかはいろいろ考えるべきところでしょう。マイナンバー制度が導入され、私は20社近くからマイナンバーの提示を求められましたが、会社によって処理の仕方には相当の違いがありました。専門業者を介してゆうパックや書留、一般的な封書での郵送などさまざまでした。
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