エリートなのに自己評価の低い息子の扱い方 “親”という文字通り、木の上に立ち、我が子の選択を見守ろう

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<ミセス・パンプキンからのコメント>

優秀な子を持つ親は、自分の幸せを忘れがち

貴女の心の内を聞かせていただいた私の感想は、貴女が大切に育てられたご長男の方に同情を覚えたことです。

ご長男の性格が私のよく知る人と似ていますため、貴女の文面にない部分まで息子さんを理解できそうな親近感を持ちました。それで私は、もし貴女が私の親しい友人だったらと貴女を仮定して、当コラムを書き進めることにしました。不愉快な点がありましたら、息子さんの思いが貴女に充分に届かなかったための援護射撃だとご理解いただき、許してください。

ご長男はとても気立ての優しい性格の賢い青年だと想像します。「彼は非常に高い能力と自意識を持っているのに、自信をなくしたりコンプレックスを抱えたりしていた」ことを貴女は非常に不本意だったと書いておられますが、母子間のズレは大体、この言葉に集約されていると思います。

ご主人は大手メーカー勤務でご自身は子育てのあと学習塾経営、3人の子供さんたちもみな、放任で伸びやかに育てた結果が有名大学進学となると、貴女は随分人様から羨ましがられてきた存在で、世間並みの挫折もあまり経験することなく今日まで来られた、かなり幸運な母親でした。

親の過度な期待に子供が潰されないよう、注意して

一方息子さんが見えている現実の就活の世界は、どうでしょう?確かに息子さんは学歴高く能力も高いと思われます。しかし世の中には、彼以上に学歴の高い人が、貴女の望む大手企業の数と比較できないほどたくさん存在するのです。

しかも最近の東洋経済オンラインの「グローバルエリートは見た、9・21号対談コラム」で、この道のプロでおられる城繁幸氏が指摘しておられたのは、大企業で上へ行くのも留まるのも、その運命を分けるものは能力ではなく、9割が「運」ということです。

貴女が不満にしておられる背景とは少し異なりますが、そして私は城氏ほど現場で実際に起きていることを基に発言できる立場ではありませんが、これまでの私の人生で感じてきたことの一つも、世の中のあらゆる分野で、能力や努力とは別次元の、「運」の良し悪しとしか考えられない、目に見えない大きな力が働いているということでした。

息子さんは、貴女が言われる「能力の高さ」だけで大企業への入社が決まるものではないことを知っている人です。「必死に活動している」と言っておられますので、大企業にもアタックされたのかもしれません。あるいはアタックされておられれば内定をもらえたかもしれません。それはここではどうでもいいことです。

「貴女に気遣う形で今の会社に就職を決めた」ほどに母親を気遣う彼のこと、貴女の自分への期待の大きさと現実とのギャップに戸惑い、「大企業に興味はない、そもそも自分の能力では・・・」と貴女に厳しく言われたのではないでしょうか。貴女のご長男への期待は、今では彼には負担以外の何ものでもありません。

息子さんより学歴の高い人で就職浪人となった人を、私は何人も知っています。大企業でないと就職する気がしないと言って、一時期だけのつもりでフリーターや就職浪人を決め込み、そのままずるずると正規雇用から遠ざかっていった人たちの多いことを考えてみましょう。

上には上がいっぱいおり、下にも息子さんの運を上回る人がいっぱいいる現実で、「働くところがあればどこでもいい」という息子さんの考えは、頭ごなしに否定できるものではないと考えます。

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