つまり、そもそも共感力が低い人がトップにつくことや、ある程度の共感力があったとしてもリーダーになることで、その能力が著しく衰えてしまう可能性が高いということだ。こうした「権力の虜」になった人々が、恋々とその地位にしがみつくことについては、日本独特の要因もあるように思える。
アメリカでも、80歳代になっても、長くトップの座にとどまり続けるリーダーはいるが、有名投資家ウォーレン・バフェット氏のように自分で立ち上げた会社のオーナー社長がほとんどだ。
多くの会社において、CEOは60代の半ばで退職することが内規化されており、辞めた後はほかの会社の社外取締役になったり、日本とは比べ物にならないぐらいの報酬をためたお金で、チャリティーにいそしんだり、世界中のセカンドハウスをめぐり、優雅なリタイヤメントライフを送るのである。
倒錯した「男らしさ」
一方で、日本のサラリーマン社長は、欧米に比べると、チャリティーに大盤振る舞いするほどの報酬をもらうわけでもなく、「肩書」のない生活に待ち受ける「何者でもない自分」「孤独」を恐れて、地位にしがみつきやすくなる。「仕事」「会社」以外に「居場所」があまりない。これは、日本のオジサマ方の共通の悩みでもある。
山根会長は、端々に「男」という言葉を口にした。「男のけじめ」「男山根明、逃げも隠れもせん」「男として責任を取るときはとります」。倒錯した「男らしさ」の価値観にがんじがらめに縛られた、こんな時代錯誤のオジサンが、平成最後の年にいまだ跋扈していることに絶望感しか覚えないのである。
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