九州大学「起業部」が学生社長を生み出すワケ 始動1年!九大公認「起業家輩出」の実態に迫る
「サッカー部がサッカーをするがごとく、起業部は学生起業します」。そんなフレーズのもと、九州大学起業部が2017年6月に始動してから、1年が経った。
入部条件は「学生起業の意志がある九大生」。単に起業について学ぶ場ではなく、学生のうちに起業する意志のない学生はお断り。そんな厳しい条件でも、初年度の部員は150人にのぼった。
起業部顧問の熊野正樹さんは「部員は40~50人を想定していたのですが、250人ほどの応募があり、選考で150人に絞ったんですよ」と明かす。
熊野さんは、異色の経歴の持ち主だ。商売人と教育者の家系に育ち、同志社大学を卒業して銀行へ。「いつか自分で会社を経営したい」と25歳で大学院の起業家養成コースに入り、院生1年生のときに軽い気持ちで出したビジネスプランコンテストで優秀賞に輝いた。ときはITバブル。楽天やサイバーエージェントなどが登場した時期だ。
「私のプランはSNSのはしりのような内容で、投資したいという話がたくさん舞い込みました。でも、どうしたらいいかわからなくて、怖くて……踏み出せなかったんです」
熊野さんが起業部を設立した経緯
数社に勤務し、起業も経験した後、2010年から大学で教鞭を執るように。2014年には熊本の崇城大学で、日本で初めて大学公認「起業部」を設立した。
「授業だけ受けていても起業はできない。サッカー選手はサッカー部で切磋琢磨するでしょ。起業部は斬新だと言われるけど、大学に古くからある部活動制度を利用しただけなんです」。目論見は見事に当たり、学生たちはビジネスコンテストで好成績を収め、実際に起業家も輩出した。
熊野さん自身も2015年、経済産業省「University Venture Grand Prix 2015」にて、起業家教育に関する講義を行う大学・大学院の教員を対象とした部門で、最優秀教員賞を受賞した。
2016年6月に九州大学へ。1年がかりで学内プレゼンを続け、2017年6月、大学公認の起業部の設立にこぎつけた。ポスターやSNSで部員を募集。
「学生起業の意志がある九大生」、部費は年間1万円という条件のもと、意志の強さを確認して150人に絞った。1~2年生を中心に全学部から集まった部員は理系7割、男子9割だった。
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