九州大学「起業部」が学生社長を生み出すワケ 始動1年!九大公認「起業家輩出」の実態に迫る
毎週月曜に定例ミーティングを開き、投資と融資の違いなど基本から教えたり、起業家を招いて話をしてもらったり。
「活動の核となるのは、チームでビジネスプランを作成して、国内外のコンテストに応募すること」という。
夏の合宿で4~5人のチームを組み、ビジネスプランを作成して、秋から毎週のように行われる国内外のビジネスプランコンテストにエントリー。書類審査に通ったらプレゼンに行く。
「審査員は起業家やベンチャーキャピタルの方などで、厳しいことを言われるけど、アドバイスもしてくれます。アドバイスを受けてブラッシュアップを繰り返すと、プレゼンもプランも見違えるように良くなる。そして冬ごろには投資の話が来て、起業に至るというのが理想的な流れです」
九大起業部には、起業家やベンチャーキャピタリストなど51人のメンターと、企業の寄付で成り立つQU Venturesから支援を受けられるという強みもある。「皆さん、学生が起業するならと応援してくださってありがたい」と笑顔で話す。
起業したいという熱意が大事
そもそも学生は自分で起業のテーマを持って入部するのだろうか。「いえいえ、明確にやりたいことがある学生は少なくて、私自身を振り返ってもそうでした。ただ、起業したいという思いは強くて、そこが大事なんです」。昨年度はみんなが出したテーマから投票で選び、4~5人ずつでチームを作った。
「九大は全方位の学部学科があるので、理想的なチームを組める」と熊野さん。たとえば、医学部生が医療系サービスを考え、工学部生がAI、経済学部生がマネジメント、芸術工学部生がデザインを担当するというように、専門分野を生かせるというわけだ。
部活動に本腰を入れると、本来の学業がおろそかになりそうだが、「かえって勉強するようになって成績もいいですよ。いろんな学部の学生と活動していると、自分の学部や専門家としての視点で意見を求められることがあり、知らないとかっこ悪いから(笑)。今、アカデミックの世界は学問を融合するのがトレンドで、起業部ではそれが自然にできている」と胸を張る。
創部1年目からいくつかのチームはコンテストでいい成績を残し、2018年1月にはさっそく起業第1号が誕生した。医学部4年の飯塚統さんが代表を務める、メドメイン株式会社だ。
研究医を目指していた飯塚さんは、研究に必要なプログラミングを独学でマスターし、学生が集まって医療ソフトの開発を進めていた。起業を目指すため1年休学し、東京のスタートアップで働きながら学ぼうと思っていた矢先、九大起業部ができると聞いて入部。
あたためていたアイデアを磨き、国内外のコンテストに出場すると、シリコンバレーのTVのピッチイベントでは世界各国から参戦した15チームの中で見事に優勝。
投資の話が次々と舞い込み、入部から半年で会社を設立した。メインの事業は、AIによる病理画像診断ソフトの開発だ。今年6月には総理大臣官邸に招かれ、地方創生の優良事例として発表もした。
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