道徳教育が必要なのは「ゲスの極み」な大人だ

小中学校での「教科化」が目指すべき真の目的

私たちにとって「道徳」とは何だろうか(写真:NOBU / PIXTA)
今年4月から、小学校の「道徳」が「特別の教科」に格上げされた(中学校は2019年4月から)。これに伴い、道徳も「評価」の対象となった。
では、そもそも私たちにとって「道徳」とは何だろうか。この問いに答えられる親や教師、「大人」はいるのか。ほんとうに「道徳教育」を必要としているのは誰なのか。新刊『大人の道徳』を上梓した気鋭の若手教育学者が、大人たちが最低限知っておくべき前提から問い直す。

「サムライ」戦士たちの「清々しさ」

サッカーワールドカップロシア大会が7月18日閉幕しました。日本代表チーム「サムライブルー」の戦士たちの、じつに「きよきよしい」……いや、「すがすがしい」活躍は、まだ記憶に新しいところでしょう。

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たしかに、大会途中には、「サムライブルーはサムライではない」といった、厳しい批判を浴びたこともありました。言うまでもなく、あのポーランド戦終盤の「ボール回し」戦術です。

それについては、いまでも賛否の分かれるところではあるでしょう。私自身も、全面的に肯定とも否定ともいえない、微妙な思いが残ります。

しかし、1つ考えてみてください。

もし、同じ状況で、同じ戦術を、フランスやベルギーといったヨーロッパのチームがとったとしたら、それでも今回と同じようなバッシングが巻き起こったでしょうか。

たしかに、批判が出たことは出たでしょう。けれども、おそらく私たちは、「やっぱりヨーロッパは合理主義だなぁ」と、諦めて納得するしかなかったのではないでしょうか。少なくとも、日本代表が国内外から受けたような「汚い」「醜い」「それでもサムライか」などといった激しいバッシングにまでは、ならなかったのではないかと思われます。

つまり、あの「ボール回し」が激しい批判を浴びたのは、いやしくも「サムライ」を名乗る「日本」の代表チームであるからには、正々堂々、潔く、清々しい戦いぶりをみせてほしいという、期待や願望の裏返しでもあったわけです。しかも、その期待や願望を、日本人のみならず、世界の人びともまた、共有していたのです。

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