民泊新法、それでも「掟破り」が跋扈する真因

違法行為が放置されれば多方面に悪影響及ぶ

D&M氏がこれに懲りてまともに申請するのではないかと思ったのもつかの間、11件の物件は新たなアカウントで、他者の物件の許可番号とともに掲載され始めた。ホスト名はD氏のみで、M氏の姿はなく、D氏のみが運用している体(てい)に変わった。アカウントの画像も、真面目そうな男女の和服姿から、パリピ系の夫婦と子どもの画像に変化。おそらく「拾い画像」なのだろう。新たなアカウントにしたことで、掲載停止から逃れることができたようだ。7月から少しずつ、宿泊者からの高評価のレビューが付き始めた。

6月15日以降、掲載停止となる物件が増えたことや、エアビーがキャンセルされた宿泊者に対して、支払った宿泊費と同額のクーポンを配布したこともあり、“合法物件”として掲載されている物件の平均価格は上昇しつつある。一時は民泊撤退ビジネスが急成長したものの、今は民泊運営代行業者やコンサルティング業者がこの状況を受けて、民泊の新規開業提案を行っているという話もある。

違法状態のまま貸し出している物件に宿泊

とある7月の日曜、筆者はD氏が違法状態のまま貸し出している物件を予約し、宿泊した。

物件は新宿駅から徒歩10分、丸ノ内線西新宿駅から徒歩3分程度の好立地だ。築40年超の物件で外観は小綺麗だが、エレベーターなどは年季を感じさせ、古い建物特有のなんとも言い難い臭いが漂う。総戸数は44戸で、事務所として利用されている部屋もあるようだ。

不動産会社のウェブサイトによれば、宿泊した部屋がある4階のワンルームの物件の家賃は1カ月7万円、今回の宿泊料金は、宿泊料金の8000円に、1滞在ごとに支払う清掃料金が4500円、エアビーのサービス料が1688円の計1万4188円だった。大手宿泊予約サイトでは、同日の新宿周辺の「アパホテル」をはじめとしたビジネスホテルは6000円から販売されており、割高だ。

ホストは宿泊料金と清掃料金をあわせた1万2500円からエアビーの手数料3%を差し引いた1万2125円を受け取る計算だ。仮に賃貸物件として借り受けてエアビーに登録した場合、清掃料金を考慮しなければ、10万円台後半は毎月懐に入ると推察する。

民泊物件は、ホストが常駐する「家主居住型」と不在の「家主不在型」に分かれる。いずれも年間の営業可能日数は180日以下で、市区町村によっては、営業日数や営業可能エリアなどの厳しい条件が課されていることや、マンションなどは管理規約で禁止している場合もある。周辺住民への説明の必要もあり、手間も非常にかかる。ちなみに今回宿泊した東京・新宿区では、住宅専用地域では月曜正午から金曜正午までは営業禁止、住宅専用地域以外では曜日を問わず法律の規定通り、年間180日営業ができる。

D氏は11件の物件を運用しており、予約状況はほぼ満室状態であることから、新宿の物件だけで毎月150万円超の利益を得る計算だ。同物件で同階の他の部屋は売りに出ており、価格は1450万円。現行収入は年間102万円で、利回りは7%が見込まれるとしている。民泊として運用した場合のほうが、はるかに高い利回りで運用できるのがわかるだろう。

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