日本の「観光政策」が犯している初歩的なミス 情報はあればいいというものではない
日本は現在、空前のインバウンドブームに沸いている。2013年ごろから、日本を訪問する人の数はその前の年に打ち立てた記録を破り続けている。わずか5年ほどで訪日観光客数はほぼ3倍に膨らみ、2013年の1036万人から2017年には3000万人の大台突破に近づいた。
足元でも、訪日観光客数は新たな月間最高記録を次々と更新し続けている。だが、この状況は東京オリンピック後も続くかは現時点では誰にもわからない。
日本の情報はどれも「玄人向け」
この疑問に答えるにはまず、現在のインバウンドブームが何によってもたらされたのかを改めて考える必要がある。筆者が考える限りでは、1)中国をはじめとするアジア諸国に対するビザの緩和、2)多くの国の通貨に対して円安傾向になった、3)格安航空(LCC)や民泊普及などによる旅費の低下――などが挙げられる。
同時に、スマホやソーシャルメディアが果たした役割も見逃せない。日本の旅行業界はお世辞にもデジタル化が進んでいるとは言えないが、日本を訪れたインスタグラムやユーチューブ、ウィーチャットのユーザーたちが、「親善大使」のごとく、日本を世界中に宣伝してくれた。
加えて、トリップアドバイザーのようなサイトのおかげで日本の多くのエリアがデジタルマップに掲載されるようになった。辺ぴなエリアでも観光や食事のオプションについて検索し、情報を仕入れることができる。こうしたところを訪れるユーザーのリストやレビューは驚くほど役に立つことが多い。
とはいえ、こうしたコンテンツは「玄人向け」とも言える。つまり、日本の特定の情報について検索をした人がこうした情報にたどり着くことは可能だが、日本についてさほど知らない人が情報を探すのはこの上なく難しいのである。これは、日本政府や観光当局、そして地方自治体による情報のキュレーションとプレゼンテーションに問題があるからだ。
特に地方の多くの地域は、外国人の関心を集める意識が足らず、結果、観光客は東京や京都といった知名度の高い観光地以外を見つけられず、その辺りだけを回って帰ってしまうのである。この傾向は特に、日本に1度しか訪れるつもりのない、欧米からやってくる観光客にあてはまる。
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