日本の「観光政策」が犯している初歩的なミス 情報はあればいいというものではない

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個人的にはこの問題のポイントは、マーケティングの世界で言うところの「TOFU」(Top of the Funnel=購買プロセスにおける初期段階)の取り組みができていないことだと思う。簡単に言えば、情報はすべてオンラインにすでにそろっているが、何もキュレーションされていないため、情報に関する認知度が極端に低い。旅行者が何を探すべきか、また、どこから情報収集を始めるべきかさえわからないのである。

日本はこの問題にどう対処すべきだろうか。率直に言えば、日本は世界の現状に大急ぎで追いつく必要がある。しかし、現在こうしたことに従事している人たちは、潜在的な旅行者の消費の仕方や、情報の見つけ方にひどく疎い。もっと具体的に言えば、2018年にもなってフェイスブックやインスタを無視して、チラシなどにカネを無駄に費やしているのは論外だ。

潜在的旅行者にアピールするには

潜在的な旅行者にアピールするにはまず、ストーリーを伝える必要がある。が、残念なことにこうした仕事を担当しているのは、広告テクノロジーやマーケティングの現状を知らない人が多く、ソーシャルメディアで意義のある結果を生むために予算を投入することはまれだ。

しかし、フェイスブックのようなプラットフォームに重点的にターゲットを置くことによって、どんなニッチな潜在的旅行者に対しても完璧に作られたメッセージでリーチすることができる。

想像してほしい。京都に行く旅行客が、たとえば京都に求めるのと同じ体験を鎌倉でできるとしたら。それも混雑なしでだ(鎌倉も混雑しているイメージがあるが、それは一部の地域だけだ)。こうした物語を3分から5分のプロモーションビデオにして、注意深く選んだフェイスブックユーザーに配信したとしたらどうだろうか。

さらに、このビデオを見た人に対して、購入プランの手前まで導くために、この地域の旅行プランを付けた記事を再び配信する。これらすべては、基本的なフェイスブックの知識があればできることだ。

もちろん、日本も努力はしている。たとえば、日本政府観光局(JNTO)は2016年、「日本――伝統と未来が出会う場所」と題した優れたビデオを制作している。この3分間の映像は口コミで広がり、ユーチューブでは800万回以上再生されている。これを見た人の多くは日本に行きたい、と感じるだろう。

しかし、ここの映像にはやはり、前述したキュレーション問題が内在している。映像には日本全国のすばらしい場所がいくつか出てくるのだが、日本をよく知らない視聴者は宝のように隠された場所がどこにあるのか、自らグーグルで検索するなどしないと探し当てられないのである。JNTOの責任者が、これを視聴する人がどういう人なのかもっとよく理解していれば、場所の名前やタイプスタンプなどを加えることができたはずだ。

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