6月も下旬に差しかかった。リクルートキャリア就職みらい研究所の調査では、6月1日時点ですでに69%の就活生が内定を得ている。ぜいたくにも、内定した企業の「辞退の仕方」を話題にする学生たちがいる一方で、内定を目指して必死にもがく学生たちもいる。
今回は、進路が決まらない文系の学生2人と理系の学生1人の実態に迫ると同時に、就職相談や企業紹介を行ったキャリアアドバイザーが実際に行っている、支援の事例を紹介していく。これから内定を取る学生に必要な発想と、就活手法の変え方について伝えていきたい。
6月初旬、都内私立大学に通う会田智香さん(仮名)は、学内のキャリアセンターへ向かっていた。毎日のように行動をともにする友人2人が内定の報告に行く。自ら付き添うと決めたものの、足取りは重かった。「私だけまだ内定を取れていない」からだ。
その日の夕方、スマホに1通のメールが届いた。面接を受けた企業からの合否通知だ。脳裏をよぎる、いやな予感を振り払い、メールを開く。「お願い!」と思わず口にした言葉は、すぐにため息に変わった。不採用を通知する、「今後益々のご活躍をお祈り申し上げます」との、相次ぐ”お祈り”メールに、「メールの着信を見るのが怖くなっている」という。
メールの着信を見るのが怖い?
会田さんは好きなことだけを仕事にしたいという一心で就活していた。高校生のころからメイクやデザインに興味があり、大学は家政学科のある学校に進んだ。大学のゼミでは、化粧品会社と連携したプログラムで、マーケティングや商品企画を体験。やりがいを感じ、化粧品業界への思いは強くなる一方だった。就職活動も化粧品業界に絞って進めていたが、ここにきて行き詰まってしまった。
会田さんが就活準備を始めたのは、大学3年生の夏に参加したインターンシップからだ。3社に参加し、手ごたえもあった。そのため本番でもうまくいくはずと信じ、第2志望の業界群は開拓してこなかった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら