「内定ゼロ」から脱出する就活戦略の見直し方 苦戦中の就活生の事例をもとに打開策を伝授

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3月になると、企業によってはインターンからの早期選考があり、合同説明会も本格化した。早期選考では“ご縁”がなく、焦りを感じて出身地の地方銀行も検討してみたが、しっくりこない。本命の化粧品業界以外へのエントリーに二の足を踏み続けた結果、6月に入ると選考が進む企業はひとつもなくなっていた。

「企業は『好き』以上に、『できる』を重視して選考しています」と語る、島津綸子キャリアアドバイザー (写真:リクルートキャリア)

リクルートキャリアの島津綸子キャリアアドバイザーは、文系の学生を専門に就職相談や企業紹介を行っている。会田さんの就職支援を担当し、初めての相談で「企業は『好き』以上に、『できる』を重視して選考しています」と説いた。そして「多くの企業で、過去に好きで入社したはずの社員が、仕事が合わないことを理由に辞めているのです」と実状を打ち明けた。

島津アドバイザーは、化粧品を扱う仕事の中から、会田さんが「したい仕事、できそうな仕事」に細分化した。

その際に着目したのは、大学のゼミで化粧品会社と提携したプログラムだ。会田さんは商品企画やデザインよりも、顧客目線でニーズを深堀りするのが得意で、教授に評価されたポイントでもあった。「私は、会田さんはマーケティングに興味があり、市場や顧客を分析するセンスがあるのだと感じました」と島津アドバイザーは振り返る。

会田さんは、商品をとことん好きになれる資質と、マーケティングの観点を自己PRに加え、数社のメーカーにエントリー。さっそく日用品メーカーで、最終面接まで進めることができた。

「『好き』と『できる』が重なる部分を見つけることが大事」と島津アドバイザーは指摘する。その際に必要なのが「できることの言語化」だ。「まずは過去の経験の棚卸しです。アルバイトでもサークルでも、評価されたことや周囲に頼られたことを起点に、洗い出してみましょう」。

インターンでのダメ出しに自信喪失

都内私立大学に通う池田祐太さん(仮名)は、秋インターンシップの選考で、ある企業の人事担当者から、きついフィードバックを受けて自信を喪失した。もともとブランド志向が強く、金融を中心に大手を志望していたが「自分なんかを受け入れてくれる企業はない」と自暴自棄になってしまった。やりがいのあった塾講師のアルバイトも辞め、ひたすらソーシャルゲームに明け暮れる日々を続けていた。池田さんが就活を再開したのは、そこから半年たった3月のことだった。

池田さんはなぜインターンシップの選考でうまく伝えられなかったのか。島津アドバイザーは「私が最初に池田さんと話したとき、本人が考える長所と客観的に見た長所にずれがあるな、と感じました」と回想する。

池田さんは自己PRで「忍耐強い」と主張していた。2度の浪人生活の末に希望の大学に合格したことなどが理由だった。しかし、塾講師のアルバイトでのエピソードから、「成績が伸び悩む生徒に、塾が指定するのとは別の教材を用意して教えていた」という話が出てきた。時間をかけて生徒と愚直に向き合うというより、既存の方法を変えて指導する姿勢に対し、島津アドバイザーは別の強みを感じたという。「池田さんはとても器用な方で、壁にぶつかったときに打開策を考えるのが得意なのでは、と直感しました」。

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