「内定ゼロ」から脱出する就活戦略の見直し方 苦戦中の就活生の事例をもとに打開策を伝授

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そう水を向けると、池田さんは「そういえば、子どもの頃からゲームが好きで、常にどうすれば効率よくクリアできるかを考えていました」と、思いあたる節があると話し出した。そして心機一転、池田さんは「戦略的な思考」という強みを打ち出して、就活を再開。島津アドバイザーの紹介で、コンサルティング企業やIT業界など10社に応募し、5社で選考が進んでいる。

「『内定できない=人としてダメ』と思いこんでしまう学生がいますが、大きな誤解です」と島津アドバイザーは強調する。そして「結局はその会社に合うか合わないかだけです。ただ、本当は合うかもしれないのに、学生がうまく伝えられずに『わからない』と判断されてしまうのは、くやしい」と続けた。

学生が自分の強みや性質を知る方法として、提案するのは、客観的に意見をくれる人と話すことだ。「社会を経験し、就活の記憶もまだ新しい3、4歳上の先輩などがおすすめです」(島津アドバイザー)。

一方、理系の学生になると、状況はまた違ってくる。「できる」だけではうまくいかない事情もある。

「『理系の就職は有利』とするのは短絡的」と語る、柚木新太郎キャリアアドバイザー (写真:リクルートキャリア)

近年の就活では、理系職種の内定出しが早い。リクルートキャリア就職みらい研究所の6月1日時点調査でも、79.4%の学生が内々定を獲得し、文系学生よりも15ポイントの差をつけている。文系の学生からうらやむ声も聞こえてきそうだが、現実は数字ほど単純ではない。

「情報・サービスや、IT、機械系が専門の学生は、例年よりも早く多くの内定を取っている印象です。しかしそれだけで、『理系の就職は有利』とするのはやや短絡的です」と語るのは、リクルートキャリアの柚木新太郎キャリアアドバイザーだ。主に理系学生を対象に就活支援をしている。そして「今年に限らず、生物や農学、食品の分野で、企業の研究開発職に就きたい学生は、苦戦を強いられています。とにかく間口が狭いのです」と解説する。

生物や食品系の研究開発職の採用は狭き門

6月初旬、面接を受けて帰宅後、大山浩子さん(仮名)は、就活生が書き込むネット上の掲示板を30分おきに眺めていた。「まだ大丈夫」。安心材料を探すように、画面をスクロールしていると、恐れていた投稿に目がとまってしまう。

「今日の面接で通過連絡きました!」

不安な気持ちと、まだ望みはあると言い聞かせる、自分が葛藤する。「人事は、面接の結果が出るのは1週間後、と言っていたのに……」。

大山さんは植物の細胞分析を専門とする大学院生だ。「人々の生活を身近で支えられるような仕事がしたい」と、食品や化粧品、薬品のメーカーで研究開発職に就くことを目指していた。

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