私が教師として小学1年生を受け持っていたときのことです。運動会の全員リレーの練習が終わって後片づけをしていたとき、1人の男の子がバトンを10本くらい抱えて運んでいました。
「たくさん運んでくれてありがとう。大活躍だね」と言うと、その子はうれしそうに「先生、一寸の虫にも五分の魂だよ」と言いました。私が「すごい言葉を知ってるね」と言うと、「うん、お父さんが教えてくれた」と、またもやうれしそうに言いました。
後日その話をお母さんにすると、彼はそのことわざが大いに気に入っていて、心の支えにしているとのことでした。彼は3人兄弟の末っ子で、しかも上の2人とはけっこう年が離れていました。それで上の2人はかわいがるつもりで彼をいじるのですが、本人はあまりよい気がしないで泣くことも多かったそうです。しかも、同学年の子どもたちの中でも体が小さいほうでしたので、お父さんが彼を励ます意味でこのことわざを教えたとのことでした。お母さんは、「いろいろな場面で、このことわざを思い出すと元気が出るようです」と笑っていました。
ことわざが支えになっている人は、大人でも多い
この子のように、ことわざが心の支えや座右の銘になっている人は、大人でも多いと思います。私も人に会うときや講演をするときは、「一期一会」と言い聞かせて臨みます。何か嫌なことがあったときは、「人間万事塞翁が馬」とか「禍福はあざなえる縄のごとし」などと言い聞かせます。逆にうれしいことがあったときも、この2つを思い出すようにしています。
メルマガやブログが滞りがちなときは「継続は力なり」です。この他にも、好きなことわざや四字熟語は次のようにたくさんあります。朝三暮四。急がば回れ。起きて半畳寝て一畳。口は災いの元。三人寄れば文殊の知恵。艱難汝を玉にす。人間到る処青山あり。臨機応変。喉元過ぎれば熱さを忘れる。
ことわざも四字熟語も、とても短い言葉の中に物事の真理、人間関係の原則、人生の知恵などが込められています。しかも、長年の風雪に耐えて残っている古典といえるものばかりなので、表現がユニークかつ意外性のあるものが多く、一度覚えるとずっと記憶に残ってくれます。
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