世代間格差拡大を招く「定年後再雇用」の現実

最高裁の判断に大きな注目が集まっている

ここで重要なのが、再雇用については雇用が法律で「強制」されているので、人を選ぶこともできないという点です。せめて人を選んだり、優秀な人だけに残ってもらうということであればよいのですが、基本的には再雇用は「全員」について「強制」されています。

必然的に「若い人」の給与が下げられることになる

もちろん原資に余力がある会社だというのであればいいのですが、賃金原資に限界がある場合には何かを削らなければなりません。それはどこになるかといえば、若い人の給与です。

入社時の労働条件を下げたり、賃金カーブを緩やかにして65歳までのトータルで見ればもらえる額を従前と同じようにする。また、残業禁止にする、ボーナスを下げる等々です。すでにいる社員は、不利益変更となるため容易に賃下げできません。一方で、定年後の社員も判決により下げられないとなると、必然的にこれから入る「若い人」の給与が下げられることになるのです。

以前この話をしていたときに、ある方から、「労働者の分断を意図するけしからん意見である!」という貴重なご意見を頂戴したことがあります。「労働者の分断」が何を指しているのかよくわかりませんが、少なくとも、世代間の公平という観点は、高年齢者雇用の問題を考えるときに、必ず考えなければならないでしょう。

国の都合で年金が払えなくなり、その分のツケが民間に回され、定年後も給与を削減できず、これから入社する若い人が下げられる、少なくとも一部の人だけが負担を被る結果が公平であるとは私には思えません。

また、「内部留保を取り崩したり、生産性を高めてより高い賃金を払えばいいではないか」という意見も散見されます。もちろん、払えるなら払えばいいのですが、そんなに簡単なことでしょうか。言うは易しです。

まず、内部留保は、端的に言えば企業の貯金なので、当然ですが限りがあります。数年は持つかもしれませんが、その後はどうするのでしょうか。また、内部留保は将来の投資や事業拡大に使うものですが、これを賃金で配ってしまったとき、その会社は10年後、20年後に存在できるかも危うくなります。

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