世代間格差拡大を招く「定年後再雇用」の現実

最高裁の判断に大きな注目が集まっている

生産性を上げるという意味でも、困難な問題があります。今回問題となった長澤運輸という会社は運送業です。基本的に「運行本数×単価」が収入の上限となります。「生産性を高める」といっても、ドライバーがスピード違反をするわけにもいきません。そして、ドライバーには休憩も与えなければならないし、「働き方改革」が進む中、長期的には労働時間も削減しなければなりません。

大幅な業務効率化やイノベーションの余地があればまだしも、中小の運送業でどうやって「生産性」を上げよというのでしょうか。さらに、Uberなどのテクノロジーにより、個人事業主による配送が今後発展する可能性もあります。新たなライバルが出現したとき、中小の運送業はどうやって利益をこれまで以上に確保すればよいのでしょうか。

もちろん、運行単価を上げられればよいのですが、「上げる」と申し出ると契約自体がなくなるリスクをつねに抱えています。このように、経営の限界がある中で、人件費については必然的に限りが生じます。

負担は公平に分け合うべき

業界全体として苦しいときには、その負担は公平に分け合うべきだと筆者は考えます。若い人だけに負担を押し付けてはなりません。これまで年金相当額の支給をすればよかった定年後再雇用制度について、賃金を下げられないとなれば、若い人を中心とする「誰か」の給与が下げられるのは必定です。

年金財源は今後も逼迫することが予想されており、今後は定年後再雇用が67歳、70歳まで強制となり、ひいては「定年制は違法」とされる時代が来るかもしれません。そのときに高年齢者に高い給与を払い続けることが本当に世代間の公平に資するのか。むしろ定年をなくして、全体の中から事業継続にふさわしくない人を解雇しやすくするべきだという意見もあります。

「同一労働同一賃金」の考え方は、あらゆる場面に適用されるとするのは疑問があります。世代間の公平という観点で考えたときに、「同じ仕事なんだから同じ報酬で当たり前」というのは本当に正しいのでしょうか。何が本当の意味での公平なのか、ということを、読者の皆様には自分の頭でぜひ考えていただきたいと思います。

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