うまくいく夫婦がやっている「対話」のコツ 移住先めぐり意見が対立!そのとき2人は

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実際、この日の三木家の家族会議は感情的になることもなく、そばで遊んでいた娘も交え、家族にとってのメリット・デメリットを確認し合う時間になった。結論として、年末に3人で京都を訪れることが決定。その際に智有さんとKちゃんが、京都を「いいな」と思うか「いやだ」と思うか、を移住の最終決断材料にすることになった。

三木さんと娘のKちゃん(三木氏提供)

そして2018年4月現在、三木家は、新しい生活を京都で始めている。

「まあ、妻が京都だ!と言い出したときから半分くらい、こうなるだろうな、とは思っていたんですけどね(笑)。今回、意見が違ったのは結構大変でしたが、でも自分たちがどういう生活や仕事をしたくて、なんのために移住をしたいのか、娘にどういう教育を受けさせたいのかを考え直す、いいきっかけになりました。

最終的に京都を選んだのは、娘が『ここがいい』となったのが決め手です。子どもの『ここはやだ』『ここはいい』という感覚は3歳ながらも結構的を射ているんですよ」

小さな子どもを邪魔扱いしない

夫婦でなんども話し合って決めた幼稚園やこの先の学校も、大人が理想だと思った場所が本人にとって「やだ」の場所になるなら、そのときはシフトチェンジすることも厭わない、と三木さんはいう。

「うちはまだ家族会議に参加させてはいませんが、夫婦があれこれ話している姿を娘はいつもそばで見ています。大事な話をするときも、邪魔にしたり追いやったりせず、一緒の場所にいるようにしています。両親が感情的にならず話し合う姿を見ているからか、娘もおもちゃやお菓子が欲しいなら、欲しい理由をプレゼンしたり、どうやったら買ってもらえるかを自然に交渉したりするようになりました(笑)。

だから将来、親が選んだ環境が娘にとって合わないと思うなら、そのときはまた家族で話し合ってシフトチェンジすると思います。そのための家族会議じゃないかな、と思うんです」

家族の中で大切な決定事項があるときに、家族会議を開けば意見が衝突することは必ずある。でもそういう問題をどう解決するか、そのプロセスをそばで子どもに見せることこそが、家族会議で果たせる親の役割かもしれない。

本連載「家族会議のすすめ」では、実際に家族会議を行っている方からの情報・質問・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらにフォームにご記入ください。
玉居子 泰子 編集者、ライター

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たまいこ やすこ / Yasuko Tamaiko

1979年生まれ。東京外国語大学卒業後早川書房に入社。主に翻訳書籍の編集を行う。 2005年にベトナムに移住すると同時にフリーランスに。編集・翻訳・ライター業のほか企業通訳を務める。2007年帰国後もフリーで活動を続ける。テーマは、育児・教育、妊娠・出産、育児の悩み、家族のコミュニケーションなど。主な寄稿先は『AERA』、『東京人』、『クーヨン』、『FRaU』、日経DUAL、JBpress、soar-worldなど。過去の仕事一覧はこちら
 

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