しかしさすが、長年家族の対話を続けてきていた夫婦だ。黙り込んだ智有さんを見て、言いすぎたと察した由香里さんは、それ以上踏み込むのをやめた。珍しくカッとなった智有さんは、その場で感情的に言い返すのではなく、距離を置いてケータイのメモに、反対理由を出していった。
「冷静になれば、仕事の目星や教育環境など妻が京都を選ぶ合理的な理由は理解できる。でも僕にも賛成できない感情的な理由がある。ケータイに書き出したのはそこを無視せず、冷静になるためでした」
夫婦会議に必須の鉄板ルールとは?
京都にするか、鳥取にこだわるか、それとも仕切り直しで東京在住を継続させるか。年内には答えを出さなくてはならない。3日後、三木さんは由香里さんに会議を持ちかけ、最初にある約束をしてもらった。
それは次の2つ。
1:最後まで相手の話を聞く
2:相手を論破しようとしない
「家族会議で、論理的に相手を説き伏せたり、言いくるめたりしても、ろくなことにならない。『相手を論破しようとしない』という大前提は何より大切なんです」と三木さんが言うように、最後まで相手の話を聞くのは家族会議の大原則、とも言える。
あなたに反論したいんじゃない。大事なことだからちゃんと話したい。みんなが納得できる道を探そう。そう最初にクッションを置くことは、円満に会議を進める最大の秘訣かもしれない。
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