「自己判断」で仕事を決めるのは無意味すぎる 多くの社会人に会って話を聞くことが重要

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学生という立場では世の中にあるすべての職業や会社を網羅して吟味できる情報力も能力もないわけです。

そういった状態で選んだ選択肢が自分にとって一生ものの選択肢である可能性は非常に低いのです。

反対に学生の頃に見えていなかった景色を見て経験を積んで視野が広がったり、自分自身の職業に対する考え方がより洗練されていくにつれて、仕事を選ぶうえでの自分なりのポリシーのようなものが出来上がる可能性は高いのです。

そう考えると、経験を通じて人は成長をするものであるがゆえに、職業もその成長に合わせて変わっていくというのは極めて自然なことでしょう。加えて、新卒で入社した企業がずっと存続したり、または入社後の競争を勝ち抜いて自分自身が生き残れるかもわからない時代です。

意図せずとも会社の倒産や、リストラの憂き目に遭うという外部要因で仕事を変えざるをえない可能性も皆無では決してありません。

つねに自分にとってのベストの会社を検討をすべき

したがって、そのようなことも想定して、いざとなれば転職できるようなスキルと経験を積むとともに、つねに自分にとってのベストの会社を、「現在勤務している会社も含めて」検討をすべきなのです。

人生とは幸せの追求ですから、1日のうちの半分以上を占める仕事においてつねに幸せな状態を求めることはむしろ積極的に行うべきです。

ですから冒頭で申し上げたとおり、仕事は一度選んだらお終いという前提と、一生安定した職業があるという前提は持つべきではないのです。

むしろ学生のときに選んだ仕事が自分にとっての一生ものの仕事であればラッキー程度に考えましょう。

そのような前提で考えると、どうしてもやりたい仕事がないという学生の立場としては、①現在興味のある仕事の中から、②将来の職業上の選択肢を広げることのできる経験ができそうな仕事を選ぶ、に限るでしょう。

なお、そういった仕事を探すにあたっては1人でも多くの社会人に会って話を聞くことが何よりも重要です。

そのうえでの自己分析です。

自分にとってのリアルな選択肢や生の情報を通じた仕事観なしに自己分析も何もありません。OB訪問、インターンシップ参加、親に紹介を依頼する、手段はいろいろとあるはずです。

こればかりは真意のわからないネット情報に頼ったり、仕事をしたことのない仲間で集まって話すよりも、経験者にアプローチするのがいちばんです。

現時点でやりたい仕事がわからないのであれば、自己分析で自分に合っている仕事を探すのではなく、リアル情報の収集を通じて、世の中にある仕事のうちどれがいちばん自分に合っているかを探す。そういった順番で考えてみましょう。

そうでないといつまでも理想論だけで終わってしまいます。

そういった発想の転換で土井さんが今後長い職業人生を通じて理想とする仕事に巡り合えることを応援しております。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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