「北朝鮮的な資本主義」のいびつすぎる内実 法律によって押さえ込もうとしているが…
「社会主義商業法」という矛盾した名称の法律が作られたのは1992年のことだ。2004年には改革の動きが後退したため、この法律は大幅な改正をが行われ、2008年と2010年にも改正された。だが、北朝鮮の公的な物資調達について市場が果たす役割を規定した条文は今も存在しつづけている。その条文とは第86条で、以下のような内容だ。
「(市場の管理、運営について)
中央の通商機関、および地方行政機関の関連組織は、社会主義経済の運営を補助するものとして市場を活用する。
市場での販売が許されていない品物を販売することはできない。また、当局が設定する上限を超える価格で販売してはならない。
市場外で物品を販売してはならない」
約30年前に作られた法律との違いは?
最後の条項は、当局によって指定された市場の埒外で行われている販売行為を指すものと思われる。また、市場経済が補助的なものとされ、あくまで中央政府による公的な割り当て制度が主体となっている点も目を引く。1992年に作られたもともとの法律にも、これとよく似た条項(第93条)が含まれていた。
現在の法律との主な相違点は2つある。ひとつは、現在の法律では市場の管理、監督について、はっきりと言及されるようになってきているということ。もうひとつは、1992年の法律では、市場が「農民市場」と表現されていたことだ。当時の市場は、農民が個人的に生産した食品(卵や肉など)を販売する場所と理解されていたからである。
2015年に改定された供給管理法は、名称こそ無難ではあるが、供給が逼迫した北朝鮮経済の中心課題を扱ったものだ。物資をどこから、どのように調達すれば合法となるのかを定めているのである。
この法律に出てくる「人民経済計画」と「社会主義生産物市場」は、資材を分配するための仕組みとしては、別個のものである点に注意が必要だ。