「北朝鮮的な資本主義」のいびつすぎる内実 法律によって押さえ込もうとしているが…
人民警察執行法(2005年改正)は、注目すべき文書だ。第8〜40条にわたって、警察が取り締まるべき活動が列挙されている。密輸、盗品の販売、酒の密造、公共交通機関に対する器物損壊、酒に酔って秩序を乱すこと、わいせつ物の頒布、医療過誤などである。
このような取り締まりリストが作られ、法律になっているということは、上に掲げたようなことが至るところで行われ、北朝鮮の社会秩序に害を及ぼすようになっていることを示唆している。また、この法律には、市場や自由な経済活動に直接関連した条項も含まれている。
たとえば、第12条では、製品の違法な販売、および当局が設定した上限を超える価格での販売は警察の取り締まり対象になる、とされている。また、第13条は露天商の存在に直接言及しており、警察は公的な機関および事業体からの機材や資材の窃盗、事前の許可なく営利目的で屋台などの施設を開く行為を取り締まる、としている。
国有企業が物資を横流し
つまり、第12条を見れば、国有企業などで物資の横流しが行われていることを当局が公式に認めていることがわかる。また、第13条は、露天商の無許可営業が広まっている状況を当局が認識していることを示している。
国の組織が違法な営業行為に手を染めていることに中央政府が気づいていることを示唆するのが、第14条だ。この条文には、警察には国有組織の従業員による違法な資金活動を取り締まる義務がある、と記されている。
第27条は自由な経済活動に直接関連するものだ。販売や交換を目的とした酒の醸造や、国が禁じた物品の売買、市場の外で物品を売買することは警察の取り締まり対象になるとされている。
中央政府が酒の供給を取り締まることの重要性と、その難しさを認識しているのは明らかだ。また、市場に関連した経済活動を、正式に存在する市場の範囲内に押しとどめておきたいと考えていることも手に取るようにわかる。自由な商取引の広がりに制限をかけ、監視するためである。