「必ず失敗する企画書」に足りない8つの視点 「Who」が明確でない計画は、絵に描いた餅だ

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プロデューサーには、気づく力、物事を大枠でつかむ力、言葉を踏まえてコンセプトを立てる力、仕組みを作る力、人のモチベーションを引き上げる力などが求められます。

こうした能力を考えるうえでわかりやすいのは、「6W2H」という視点です。

「6W2H」とは、When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、What (何を)、Why(なぜ)、Whom(誰に対して)、How(どのように)、How much(いくらで)の8つの頭文字をとったものです。

この8つの要素を整理し、明確にできれば、プロジェクトは動きます。企画書や事業計画書を観察してみると、必ずこの8つが網羅されています。

きっかけは、誰かの「ジレンマ」に気づくこと

実際のプロジェクトにおいて、この「6W2H」の中で特に重要なものは、Why(なぜ)、Whom(誰に対して)です。

「プロジェクトを起こそう!」という思いが生まれる背景には、やってみたいことが見つかった、有効に生かされていない資源を見つけた、今ある仕組みでは解決できない問題に気づいたなど、何らかの「気づき」があります。

僕が何かのプロジェクトを始めるときには、誰かのジレンマへの気づきがきっかけとなっています。

ジレンマが誰かの悩みや愚痴として聞こえてきたとき、僕は、「そんなことを言わずに頑張れ」とは言わず、その背景に構造的な問題があるのではないかと考えるようにしています。

たとえば、カフェをやりたいけれど、今の仕事を辞めて数百万円をかけて開業しても儲からないかもしれないとか、イベントを行いたいけれど会場を借りたり集客したりする資金やノウハウがないとか。

2004年に、大阪・中崎町に日替わりマスターの「common cafe」をオープンさせたのも、そうした背景があったからでした。14年経った今も、昼間はカフェ、夜はバーとして日替わりマスターで運営しつつ、ライブやトークイベント、展覧会などを行っています。

僕にとってのプロデュースとは、こうしたジレンマに気づき、それを解消するために知恵を働かせ、行動を起こすことなのです。

次に考えるのは、どうすればジレンマを解消できるのか、ということです。

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