「必ず失敗する企画書」に足りない8つの視点 「Who」が明確でない計画は、絵に描いた餅だ

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僕がジレンマの存在に気づいたときには、同じように悩んでいる人はほかにもいるのか、そこには構造的な問題があるのか、その問題について有効な取り組みをしている事例はあるのか、などいろいろ調べます。アンテナを立てていると、たまたま読んだ新聞や飲み屋で聞こえてきた会話の中からも、ヒントが見つかります。

そのことを身近な人に話します。すると「こんな取り組みがある」「知り合いにこんな人がいる」という情報が集まってきて、解決のためのアイデアが浮かんできます。

今度は、そのアイデアをいろんな人に話します。それが共感や賛同を得られて、大きなバグがなさそうだとわかったら、小さなプロジェクトとして世に問うのです。

このプランには、「What(何を=実施内容)」「How(どのように=実施のための手段)」「Who(誰が=事業主体)」と、それらの具体化に必要な「When(いつ=実施日時)」「Where(どこで=実施場所)」「How much(いくらで=予算)」が含まれています。これらが調整できれば、プロジェクトは実際に動きます。

そうしたプロジェクトの中には、マルシェを開催する、コミュニティカフェを作るなど、すでにあちこちで実施されている企画もあれば、ワインを醸造する、地域の物語を演劇化するなど、誰でもできるわけではない企画もあります。また、卵かけごはん選手権を開催するというような、「ようそんなん思いついたなあ」というものもあります。

プロジェクトを長く続けるために必要なこと

プロジェクトを進めるうえで「誰がやるか」はとても重要です。

プロジェクトとは、基本的に「やりたい人」がやるものですが、「やりたい人」だけでは実現不可能な場合には「やれる人」の力を借りなければいけません。ブレインストーミングなどで、「Who」を決めないまま、「What」や「How」の話をどんどん進めているシーンを見かけますが、これは言わば「絵に描いた餅」の状態です。

さらに、この「やりたい人」「やれる人」だけでもプロジェクトは実現しますが、長く続けるためには「やらなければいけない人」が必要です。この存在が欠けていると、「やりたい人」が他にやりたいことを見つけて、そちらに注力した場合に、元のプロジェクトは宙に浮いてしまいます。

「やらなければならない人」とは、課題の当事者です。ビジネスであれば、プロジェクトの責任者であり、新商品開発を任された担当者でしょうし、地域のプロジェクトであれば、行政であり、地域に根を張る事業者であり、地域に暮らす生活者であり、その課題をミッションとして引き受けた人です。

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