「必ず失敗する企画書」に足りない8つの視点 「Who」が明確でない計画は、絵に描いた餅だ
ただ、「やらなければいけない人」がいない場合、いてもやりたくない場合には、どうしたらいいのでしょう?
「トム・ソーヤーのペンキ塗り」に学べ
小説『トム・ソーヤーの冒険』には、おばさんから罰として塀のペンキ塗りをやらされていたトムが、さも楽しいことをやっているようにふるまって、通りかかった友人たちに代わりにやらせてしまうというエピソードが出てきます。
ここに、プロデューサーにとって大事なことが見事に表現されています。それは、「やらなければいけないこと」をみんなの「やりたいこと」に変える、ということです。
成功がいまだ保証されておらず、予算も十分にないプロジェクトの立ち上げ期には、メンバーのモチベーションを維持できないことも少なくありません。
ここで、プロデューサーはいくらかトム・ソーヤーになる必要があります。自ら現場の仕事を楽しみ、みんなが参加したいと思える夢やストーリーを語り、多くの人たちを巻き込んでいくのです。
そうしているうちに、「自分よりもやりたい人」が出てきます。僕の場合は、誰かのジレンマを起点にしていますから、自分よりもそのプロジェクトを求めていて、実現のためにモチベーション高くかかわってくれるメンバーが必ず現れます。彼らが「やらなければいけない人」として、プロジェクトを動かしていってくれます。
プロデュースというとすごいことのように思われるかもしれませんが、すべては小さなプロジェクトから始まります。そのトライ・アンド・エラーは、経済合理性を追求する観点からは無駄な取り組みに思えるかもしれません。しかし、プロジェクトを通じて得られる気づきや経験知、人脈、信頼などは、自分を大きく成長させるばかりでなく、長い目で見るとビジネスや社会を健全な方向に導く大切な営みなのです。
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