iPhoneの「バッテリー劣化診断機能」は秀逸だ

アップルの大きな利益になる可能性

アップルはこれまでiPhoneは2年ごとにデザインを刷新し、また要素技術を追加して買い替えサイクルを作り出してきた。iPhoneを販売する携帯電話会社の割引や分割払い、リース契約なども、この2年という単位が長らく用いられてきた。

しかしスマートフォンの成熟によって、このサイクルは2.5年、3年と長期化していくことが予測されている。またアップルは2014年にリリースしたiPhone 6のデザインを2015年のiPhone 6s、2016年のiPhone 7、2017年のiPhone 8と、4世代で使い続けており、アップル自身もモデルの長期化を助長してきた。

2018年にやっと、iPhone Xのデザインをスタンダードとするラインナップが整うと見られているが、スマートフォンの進化の停滞により、世界的な買い替えサイクルの長期化はより顕著になっていくだろう。

心配症のユーザーは早めに交換するかも

このように、買い替えの動機を見いだしにくくなっている中で、バッテリーの状態は、ユーザーに対して、スマートフォン買い替えの1つの指標を与える可能性が考えられる。前述のようにおおよそ1年で10%の劣化が認められるのであれば、たとえば75%になったあたりで電池交換もしくは機種交換をしよう、というきっかけを与えるということだ。

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あるいは、電池の劣化が速いと感じたユーザーは、電池交換が0円になる期間を延長できるアップルCare+への加入を希望するかもしれない。iPhone Xの場合は2年間の延長保証で2万2800円(税別)、iPhone 8の場合は1万4800円(税別)、iPhone SEの場合は1万2800円(税別)の費用がかかり、これもアップルの売り上げとなる。

今後、バッテリーとパフォーマンスの問題、あるいはバッテリーの健康状態が、ユーザーの間でどのような議論を作り出すかはまだわからない。しかし、アップルとしては「問題解決」と「マーケティング施策」の双方を叶える、面白い機能を作り出したといえそうだ。

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