「新iPad」は控えめに言っても大ヒットする 「教育市場向け」を打ち出しているが…
アップルは米国時間3月27日午前10時より、イリノイ州シカゴにあるレーンテックカレッジ高校でスペシャルイベントを開催した。イベントには世界中のプレスに加えて、全米から300人の教員が招かれ、また実際に学校で授業を行う数多くの先生が登壇し、iPadがある教室内でなにが起きているのか、その最新事情を知ることができるイベントとなった。
その中で最も注目されたのが、低価格版のiPadだ。アップルは329ドルの9.7インチiPadを価格を据え置いて刷新した。
教育市場が危機的な状況に
イベントの冒頭でティム・クックCEO(最高経営責任者)は、40周年を迎えたアップルの教育市場への取り組みは、同社にとって非常に重要なマーケットであり、日々、教師や学生から刺激を受けていると語った。
しかし教育マーケットでのアップルの地位が危機的な状況にあることが、今回の教育にフォーカスしたイベントを開催した背景にある。
アップルは2010年に9.7インチのiPadを499ドルで発売し、タブレット市場を牽引してきた。その中で教育市場は、重要な位置を占め、同市場から多くを学んだとティム・クックは壇上でも語った。
しかし近年のスマートフォンの大型化や、2-in-1スタイルのPCの登場で、タブレット市場自体が縮小し、アップルも長らく販売台数が前年同期比を割り込む苦しい期間が続いてきた。
特に教育市場の巨大勢力となったのがグーグルだ。G SuiteやGoogle Classroomなど、学校向けのクラウド環境を無料で提供し、iPadよりも大幅に安価なChromebookを売り込むことで、すでに米国市場の5割を占める勢力へと拡大しているという。
アップルがグーグルに教育市場で対抗するためには、デバイスの価格を下げること、学習環境を整えるアプリやサービスを整備すること、そして新たな価値を与えることに取り組まなければならなかった。
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