「新iPad」は控えめに言っても大ヒットする 「教育市場向け」を打ち出しているが…

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iPadの販売が3年にわたって低迷していた原因は2つある。

1つは、iPadは壊れにくく、またPCのようにパフォーマンスが悪化しない、消費者からすれば非常によくできた製品過ぎたからだ。筆者の手元にも2012年3月に発売されたiPad(第3世代)があるが、6年前のiPadであっても、壊れずキビキビと、動き続けている。つまりユーザーはiPadを買い替える理由が、長らく見つからなかったのだ。

2つ目は、より高いパフォーマンスを要求するアプリがなかなか見いだせなかったことだ。前述の6年前のモデルであるiPad(第3世代)はウェブ、ビデオ視聴、メールやメッセージ、iMovieでの簡単なビデオ編集のために使っており、それ以上のことをやろうと思わなければ、購入した当初と同じように利用できる。

高度化のスピードが早く、またキャリアとの販売施策から2年という買い替えサイクルが長らく確立されてきたスマートフォンに比べ、タブレットは用途の広がりが遅く、性能も衰えなかったことから、iPadの買い替え需要が伸びなかった。またiPad Proは、性能やキーボードなどのアクセサリーが充実したが、価格の高さが目立っていた。

2018年、iPadは大ヒットする

第6世代となるiPadは、Apple Pencilをサポートしたことから、既存のiPadユーザーにとって、大きな買い替え動機につながる。

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アップルによると、iPad Proが対応する高速に反応するディスプレー、ProMotionには対応しないが、iPad(第6世代)のApple Pencil対応により、ハイレベルのアマチュアが求める以上のペン体験を提供できるとしている。

加えて、A10 Fusionを搭載し、アップルが次のアプリの革新をもたらすと指摘する拡張現実に、大画面で対応できる最も価格の安いデバイスとなった。

スマートフォンはポケットからすぐに取りだしてAR体験が楽しめるが、9.7インチの画面サイズでのAR体験は、より没入感が増し、またグラフィックスの細かいディテールまで確認することができる。スマホとは異なるARの価値が、iPadにはあるのだ。

iPadに初めて「買い替え動機」とその身近さを与えたiPad(第6世代)は、控えめに言っても大ヒットする。今回教育イベントであることを強く打ち出していたが、実際にiPad市場を牽引するのは、世界中のiPhoneユーザーすべてになるだろう。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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