「新iPad」は控えめに言っても大ヒットする 「教育市場向け」を打ち出しているが…
教育市場奪還のために、まずアップルは同マーケットのための戦略製品であるiPadの復活に取り組んできた。
まずは、タブレットの価値の見直しだ。2015年11月に発売したiPad Proシリーズ向けに用意したSmart KeyboardとApple Pencilは、クリエイティブ分野の新しい価値をもたらし、また文房具としてのタブレットの可能性を切り開いた。加えて、PCの代替となり得る生産性を備えることに成功した。
2017年3月に発売したiPad(第5世代)は、329ドルと価格を抑えて、教育市場や企業導入のニーズに応え、再び販売台数を成長基調に戻してきたのだ。そして価格を抑えてヒットしたiPad(第5世代)の後継モデルとして登場させたのが、今回の新製品となるiPad(第6世代)。
違いを見いだすなら、ゴールドの色味、iPhone 7に搭載されていたA10 Fusionプロセッサーにアップグレードしたこと、そしてApple Pencilへの対応の3点で、そのほかのデザインに関して、大きな変更はない。
「iPadのパワーが教室に必要だ」
新型のiPad(第6世代)の特徴は、処理能力の向上だ。
A10 Fusionプロセッサーを搭載するiPad(第6世代)のパフォーマンスは、ベンチマークアプリGeekbench 4で、マルチコア4777、グラフィックス処理性能を測るMetalは13200。とくにグラフィックス性能は第5世代iPadと比べて30%向上している。
基調講演では、iPad(第6世代)は、「大半のPCと、すべてのChromebookよりも高速」であるとアピールした。では、なぜアップルは教育向けのタブレットに対して、より高速なプロセッサーが必要だと考えているのか。
その理由は、教室に持ち込むコンピュータを、単なる安いタイプライターの代わりにしたくない、という思いがあるからだという。
教室内にテクノロジーを導入する際、非力なコンピュータではレポートやスライドをまとめるツールとして使われることがほとんどになってしまう。音楽やビデオ編集はおろか、拡張現実や高度なグラフィックスによって学習の理解を深めるアプリが登場しているにもかかわらず、ブラウザ主体のChromebookでは、コンピュータならではの豊かな体験を教室に導入できない、というのだ。
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