iPhoneの「バッテリー劣化診断機能」は秀逸だ アップルの大きな利益になる可能性
まず大前提として、あらゆるバッテリーは充電と放電を繰り返すと性能が劣化していく。具体的には、新品当初よりも蓄えることができる電力量が減少していく。これはアップルのiPhoneに限らず、どのメーカーのスマートフォンでも等しく発生する。
スマートフォンの中にはバッテリーをユーザーが交換できる端末もあるが、iPhoneはユーザーによる電池交換ができないため、基本的にはApple Storeで交換してもらうか、iPhoneを買い替えるかが選択肢となる。この点も、アップルのバッテリーによる機能制限機能に不信感を持たれた理由と言える。
実際に、筆者の手元にある2つのiPhoneで比較してみた。
まず、2017年10月から使い始めて半年が経ったiPhone 8で見てみると、バッテリーの状態は92%だった。つまりフル充電しても、新品のときと比べて8%少ない容量しか利用できない、ということだ。だからといってiPhoneの画面上部に表示させたバッテリー残量が92%より増えないというわけではなく、充電が終わるときちんと100%になっている。
一方、2017年11月から使い始めて5カ月が経過したiPhone Xは、100%のままだった。つまり、新品の時と同じバッテリー容量を維持していることを表している。前者と後者で1カ月の期間の違いはあるが、8%の劣化度合いの変化は大きな差だ。
使い方を比べてみると、iPhone 8は夜までバッテリーがもたず、途中でモバイルバッテリーによる継ぎ足し充電をほぼ毎日行っている。一方iPhone Xはバッテリー持続時間が伸びたことから継ぎ足し充電せずに使い、夜になって初めて有線でフル充電する、という1日1回のサイクルが基本だった。
バッテリーの劣化具合はさまざま
Twitterのハッシュタグ「#iPhoneBatteryHealth」でアンケートを取ってみても、端末の種類や時期、使い方によってバッテリーの状態はさまざまだった。大まかな傾向として、1年間使ったiPhoneの多くはバッテリーの状態が90%になっており、10%前後フル充電時の容量が減っているものが多く見受けられたようだ。
今回のiOS 11.3では、バッテリーの状態にかかわらず、一度「ピークパフォーマンス管理機能」がオフになり、iPhoneのプロセッサーが最大性能を発揮できる状態に戻される。そのうえで、バッテリーの状態によってシャットダウンが引き起こされると、このピークパフォーマンス管理機能がオンになり、性能が制限されるようになる。
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