カンタス「17時間直行便」で起きていること

飛んでいる間じゅう、ずっと真っ暗

機内では、随時自由にスナックや飲み物を取ることができる。これまでの長距離便にもこういったサービスは行われているが、物量にかけては従来機とは比べて桁違いで、「スナックやお茶など、飲食関連の細かいサービスアイテムは合計21000個積んでいる(カンタス広報)」ということだ。

さらなる課題は機内Wi-Fi

近年、多くのフライトで機内Wi-Fiの設備が搭載されている。国内線では無料だったりと、仕事の準備を機内でしたりするのに便利になった。機上からの富士山の写真がSNSにアップされる機会が増えているのもそのせいだろう。

「経由地」が消えたロンドン行き出発案内表示。初期の英豪便は途中5カ所に停まったという(写真:カンタス航空提供)

さて、英豪直行便の飛行中、下界との通信環境はどうなっているのだろうか。記者のルイスさんは、「こんなに長時間にわたってネットと接続できないのは、スマホを持って以来初めてのこと」といったコメントを綴っており、インターネット環境の整備には課題を残している。もっとも、東南アジアから南アジアにかけての上空は衛星経由のネット接続が難しい傾向があるので、必ずしも機体側の理由ということもなさそうだが、「地下鉄で駅間を走る2分間、Wi-Fiが切れるだけでもイライラするロンドナー」にとっては、15時間以上メールやSNSがチェックできない前提で飛行機に乗り込むことはとても辛いこと、と感じるに違いない。

このように、超長距離便の状況をつぶさに見ていくと、乗客への負担が意外と大きいことが浮かび上がってくる。「長時間夜行便+早朝日の出前の到着」というフライトで飛んで来た結果、数日間疲れが取れないという結果になるやもしれない。

それでも、運航側から見れば、無着陸直行便を飛ばすことで、かなりの経費節減にはなるという。カンタスのアラン・ジョイス最高経営責任者(CEO)は昨年夏、ボーイング社とエアバス社双方に対し、「2022年までに、シドニーからロンドンやニューヨーク、リオデジャネイロへ無着陸で飛べる機体の開発を」と呼びかけた。もし実現すれば、旅慣れない人にとって便利な直行便での旅行が実現する一方、ロンドンまでの予測される飛行時間は20時間を超えることとなり、さらなる身体への影響も考えなくてはならなくなるだろう。

より遠くまでスムーズ、快適に飛びたい願望は、誰もが持っていることだろう。しかし、その限界点はどこにあるのだろうか。技術の進歩と人々が付いていけるギリギリのところでのせめぎ合いが今後、論議されることになるのだろうか。

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