カンタス「17時間直行便」で起きていること 飛んでいる間じゅう、ずっと真っ暗
「乗り継ぎは面倒」という傾向は日本人に限った話ではない。英国人とオーストラリア旅行の話をすると、特に高齢者からは「ロンドンを出たらまっすぐシドニーまで行ってくれると良いんだけどね……、どこかで必ず乗り換えなきゃいけないから……」と愚痴る声も多く聞いた。そういう意味では「余分なところに行かずに済む」直行便就航のインパクトは大きい。実際に、これまでの中東経由の便より3時間短縮できている。
しかし、現在の技術と機材でロンドンからたどり着けるオーストラリアの街は、最も西側にあるパースだ。ここから大都市であるシドニーやメルボルンに行くには、さらに3時間以上も飛ばねばならない。それでも、よその国で乗り継ぐよりは心理的影響は小さいのかもしれないが、「17時間以上乗りっぱなし」というほとんどの人にとって未体験な世界は一体どんなものだったのだろうか。
飛んでいる間じゅう、ずっと真っ暗
ところで日本から欧州へのフライトの多くは、日本をだいたい日中早い時間に飛び立ち、現地時間の夕方に着くという形で飛んでいる。これだと、飛行時間は12時間以上あるものの、ずっと日中に飛んでいる格好となり、運が良ければ下界の風景も随時楽しめて、しかも時差ボケの影響も少ない。現地着陸後にホテルにたどり着きさえすれば、既に時間は夕刻、そのままベッドに潜り込むこともできる。
しかし、パース発ロンドン行きは、日本―欧州ルートと比べてはるかに過酷だ。ダイヤ設定が夕方出発で、ロンドン着が早朝と、飛行中一度も太陽を見ることができない。
「こんなに鬱々とした気分になるフライトは過去に記憶がない」
英大衆紙サンの記者、ジェイコブ・ルイスさんは、同紙ウェブに事細かなフライト体験記を書いているが、最も目を引いたのがこのポイントだ。
調べてみると、東南アジアから欧州に向かう便は、日本発とはまったく異なるトレンドがある。日本人の利便性を考えた日中発とは異なり、アジア各地を深夜0時前に出発、早朝5時前後に現地着と、機内で充分に睡眠できる時間設定で忙しいビジネスマンのニーズに応える形となっている。
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