余命宣告を受けた34歳女性が広げる「マーク」 「ヘルプマーク」を知っていますか?
こうした仲間たちの活躍、名古屋市役所の人々の協力もあって、同年10月には名古屋市がカードタイプのヘルプマークの導入を決定。小崎さんの自宅がある三重県も、この2月からカードタイプでの導入を実現している。少しずつでも着実に導入を決意する自治体が増えてくる中、小崎さんの役割も変化してきている。
「東京・大阪では、“ヘルプマークをつけていても優先席を譲ってもらえない”という声が多いんです。これからは、健康な人に知ってもらうことにも注力していきたいと思っています」
1日でも多く笑える日を
この間の2016年には、中高一貫校の教諭をしている紘成さんと結婚。ともに雪の中に立ち、署名活動にも参加してくれている。長尾さんが言う。
「余命宣告を受けた当時より、今のほうがずっと元気です。紘成さんの存在がすごく大きいんだと思います」
とはいえ、余命宣告を受けた身であることには変わりはない。病気が切迫すれば、躊躇なく骨髄移植にトライするつもりだ。だがそれまでは、1日1日を大切に、全力で生きていきたい。
「寿命って、長さよりも日々をどう過ごしたかのほうが大切なんだと思います。だから苦しかったり悲しかったりする日をできるだけ笑えるようにして、1日でも多く笑える日を作っていきたい――」
病気をしてから幸せを感じることが多くなったと小崎さん。MDSは健康というかけがえのないものを奪ったが、病気ゆえに得たものもあった。
その恵みに心から感謝しつつ、今日を懸命に、全力で生きている――。
<取材・文:千羽ひとみ 撮影:吉岡竜紀>
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