余命宣告を受けた34歳女性が広げる「マーク」

「ヘルプマーク」を知っていますか?

仕事は体調を第一にして出社も極力少なくした。経営者として業績悪化を心配したがそれでも売り上げは落ちなかった。それどころか、入院先まで商談に来てくれる顧客まで現れた。長尾さんが言う。

「人柄でしょうね、心配していろいろな本を持ってきてくれたりする人が周りにいて。可愛がられる人なんです」

そんな職場復帰直後の通勤電車の車内で、小崎さんがヘルプマーク普及に取り組むきっかけとなった出来事が……。

「家から駅まで歩いて5分ほどだったんですが、その5分の道中が大変で……。ようやっと駅にたどり着き、電車に乗って優先席に座っていると、高齢の方から“ようそんなとこに座っとんな……”と」

そんなことが3回続くと、高齢の人たちが乗ってくるのが怖くなった。余命宣告されている身でありながら白い目で見られるやるせなさ……。

そんなとき、会社のスタッフから教えられたのが、ヘルプマークだったという。

東京までは取りに行けないと、ヘルプマークの規格をもとにプレートを自作、病気を伝える文章を添えてバッグにつけると、高齢男性から「頑張ってな」と言ってもらえた。

フェイスブックで体験を公開すると、切実なメッセージが押し寄せた。

「満員電車で押され、人工関節が壊れた経験があります」「視覚障害があるけれど、誰も気がついてくれない」など……。

そんなとき、古くからの友人からの言葉が、小崎さんの心を揺さぶった。

「麻莉絵ちゃん、こうしたことって、もっと広く知ってもらわないと意味ないんじゃないの――?」

普及活動

この言葉がきっかけとなり、2016年11月、小崎さんのヘルプマーク普及の活動が始まった。小崎さんの活動の第1歩は、名古屋市議会議員への働きかけからだったという。議会で河村たかし市長に質問してもらい、「こうしたものがあるのは非常に大事」とのコメントを引き出した。

名城公園での署名活動。さまざまな人の署名が、名古屋市を動かし、ヘルプマーク導入への強力な後押しとなった(写真:週刊女性PRIME)

2017年4月には、導入目指しての署名活動を開始。6月には、長尾さんも協力のもと名古屋城下の名城公園で開かれたイベントに便乗、ブースを設けて署名を呼びかけたところ、およそ800名の署名が集まった。

さらには知人4名がなんと1万131名もの署名を集めてくれた。受け取った河村市長からはこんな声が出た。

「こんなに持ってきたんか! すごいなあ!」

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