先日、知人同士の飲み会で50代後半の男性がこんなことを言っていた。
「東海道線に乗っていたら、前に座っていた子どもたちに席を譲られたんだよね」
50代後半という年齢を考えると、車内では席を「譲られる」には早すぎるように思われる。しかし年齢と見た目は一致しないもの。そう思いながら彼の頭の上のほうをそっと盗み見てしまった。確かに子どもたちが譲りたくなるかもしれない……。
高齢者22人に聞いてみた
席を譲る、譲らないという話題で想起するのは「優先席」だろう。普段列車に乗る際、すこぶる体調が悪く、なおかつそこしか空いていないといった状況の場合を除いて、原則的に私は優先席には座らない。
優先席と銘打っているからには、優先されるべき人がいなければおそらく座っていても構わないのだろうけど、どうしても抵抗が生じてしまう。お年寄りや妊婦が近くに来たタイミングで席を譲ればいいのだろうが、譲るという行為が相手を不快にしてしまうのではないかという心配がある。見た目が高齢者に見えても、冒頭の例のようにまったくそんなことはないかもしれないし、仮に実年齢的に高齢者であっても、当人は自分自身をそうとらえていないかもしれないからだ。
そのため、優先席ではない席に座っていても、高齢者と思われる人が近くに来た際、私はスムーズに席を譲ることができないでいる。たとえば駅に停車中のタイミングであれば、下車するふりをしながら隣の車両に移るといったようなことをしている。
一方的に「譲る側」の理屈を並べていても仕方がない。そこで高齢者は席を譲られるという行為をどう感じているか、今まで優先席に座らなかった高齢者はどのようなきっかけで座るようになったのか、自分の知人である首都圏在住の61~80歳の22人(平均年齢70歳、男性20人、女性2人)に質問をしてみた。
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