最初の質問は「優先席が空いていれば座るか」。この問いに対しては、全体の7割に相当する22人中16人が「座る」と答えた。「座る」と答えた人の平均年齢は71歳で、「座らない」と答えた人の平均年齢は68歳である。さらに、「座る」と答えた人のうち、最も若い人は61歳。逆に「座らない」と答えた人のうち、最も高齢の人は76歳だった。
「座る」と答えた人にその理由を尋ねてみたところ、多かったのは「疲れるから」、そして「空いているから」というものである。逆に「座らない」と答えた人にその理由を尋ねてみたところ、「自分は若いと思っているから」「年寄りに見られたくないから」といった声が聞かれた。あくまで私見だが、身なりに気を使っている人ほど「座らない」と答える傾向にあるように思われた。
続いての質問は、「普通の座席も含めて席を譲られた経験があるか」。この問いに対する回答は22人中17人が「経験がある」というものだった。さらに追加で「初めて席を譲られたときの年齢」についても聞いてみたところ、最高齢が77歳、最若手が40歳、平均64歳というものだった。ただ、なかには「台湾でのことだよ」「これは韓国での話だからね」というただし書きが付いている人も2人いた。「日本で席を譲られたわけではない」ということを強調したかったようだ。これはつまり「日本では積極的に席を譲る人は少ない」と同義に思われる。
席を譲られると優先席に座り出す?
最初の「優先席が空いていれば座るか」という質問に対して、「座らない」と答えた6人のうち、席を譲られた経験があるのは2人だった。これだけをみていると、席を譲られることと自主的に優先席に座ることには関連性がないように思われる。
逆に「優先席が空いていれば座る」16人のうち、席を譲られた経験があるのは13人もいた。しかも、そのうち8人が、席を譲られた経験からほどなくして、長くても3年以内に「日常的に優先席に座る」ようになっていたのである。
ひょっとすると「譲られた」という経験が、「優先席が空いていれば座る」きっかけになっているのかもしれない。私が席を譲ることにより、これまで優先席に座ることをためらっていた人が、今後気兼ねなく座れるようになるのなら、それに越したことはない。
しかし、それでもやはり高齢者かどうかは見た目で判断できない、という前提はどうしても大きな壁である。鉄道会社も乗車時にはしきりと「優先席」に関するアナウンスをするが、最終的に「譲る」判断は乗客に委ねられていて、なんとももどかしい。
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